本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.4.2

SWIFTとCBDC

先月、銀行間の国際決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(SWIFT)」は、「現在、各国の中央銀行が開発している中央銀行デジタル通貨(CBDC)を既存の金融システムに接続できるようにする新たな仕組みを、今後1、2年で導入することを計画している」と発表した。しかも、「世界の中銀の約9割は何らかの形でCBDCの開発に着手し、ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)の発展に乗り遅れずに決済取引の中心としての地位を維持したい考えだが、技術的な難しさに苦戦を強いられている」とも述べているのである。

つまり、世界各国は、すでに、「CBDCの導入を急いでいる状況」とも思われるが、この点に関して、最も先導的な役割を果たしているのが「日銀」であり、実際のところ、今回も、「植田日銀総裁」は、「表面上の言葉とは違い、大胆な政策を実施し始めた状況」のようにも感じている。具体的には、最近の「日銀当座預金」と「貸付金」の急激な残高膨張の理由として、「コンピューターネットワークの中を流れることができない紙幣の増刷」ではなく、「デジタル通貨であるCBDC」を実質的に発行しながら、「1945年以降に実施されたインフレ政策と同様の手法により、日本国家の債務残高を減らそうとする動きではないか?」とも思われるからである。

そのために、今後の注目点は、「日銀のバランスシートにおける変化が、国民に、どのように受け止められるのか?」を見守ることであり、実際には、「江戸時代の貨幣改悪」の時に発生した「小判の色が白くなった事実に気づいた庶民が、慌てて、換物運動に走り始めた状況」が、形を変えて再発する可能性のことである。つまり、「政府や日銀に対する信用」が完全消滅したときには、結局のところ、「CBDCを紙幣に交換しながら、多くの人々が、実物資産の購入に殺到する展開」が想定されるのである。

そして、このことが、今までの800年間に継続した「西洋文明」を象徴する「富の時代」の終焉とも思われるが、この時に必要なことは、「富の根底に存在する信用」が、「1600年前に崩壊した西ローマ帝国以降の800年間」に、「東洋文明」を象徴する「神の時代」に醸成された可能性の理解ともいえるのである。つまり、現在の「デジタル革命」については、誕生までに1600年間の時間が必要とされた可能性のことでもあるが、今後の注目点は、「生成AI」は実物に限りなく似たような映像や新たな理論などを作り出すことができるものの、一方で、大自然が生み出すような「実際に食べられる食料」の生産は不可能であり、このことは、現時点で、典型的な「絵に書いた餅」、すなわち、「言葉や映像だけで、人々の食欲を満足させられない学問」のようにも思われるのである。