本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2024.4.8

国家イスラエルの将来

現在、「イスラエルという国家の将来像」に対して、世界的な規模での不安感が高まっている状況とも思われるが、この理由としては、「アウシュビッツの収容所などで、歴史的な悲劇を味わったユダヤ人が、反対の立場になると、同様の行動を取り始めていることへの驚き」が指摘できるものと感じている。つまり、「ユダヤ人のみならず、人類全体への不信感が高まっている状況」とも言えるようだが、この点については、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊時と同様の状況ではないか?」とも考えている。

具体的には、「お金(マネー)が基本的な価値観となった共同体の崩壊」のことでもあるが、実際には、「マネーの根本である信用」が使い果たされた結果として、「何も信用できない社会」が形成され始めた可能性のことである。別の言葉では、1600年という時間をかけて、世界的に形成された「グローバル共同体」の崩壊のことでもあるが、この点の理解に役立つのが、「無人島に流れ着いた人々の話」のようにも感じている。

より詳しく申し上げると、25年ほど前、「マネーの逆襲」という著書を上梓した時に理解できたことが、「信用とマネーの関係性」であり、実際には、「無人島に一人で存在する場合には、すべてを自分で行う状態」のために、「お金」も「分業」も存在しないことが見て取れるのである。しかし、この時の注目点は、「もう一人が流れ着いたときに、殺し合いか、あるいは、共同体が発生する可能性」、すなわち、「相手を信用して共同作業が始まるのか、それとも、信用できないために殺し合いが始まるのか?」が指摘できるのである。

そして、現在は、前述のとおりに、「信用消滅の結果として、世界的な分断が始まった状況」、すなわち、「1600年前と同様に、数多くの共同体へ分裂する過程が始まった段階」のようにも感じられるのである。つまり、冒頭の「イスラエルという国家」に関しても、「このままの状態で、国家が継続可能なのか?」、それとも、「1948年以前のように、国家が存在しない流浪の民にもどるのか?」が疑問視されている状況とも思われるのである。

より具体的には、「第五次中東戦争や第三次世界大戦が始まるのか?」までもが危惧され始めた状況とも想定されるが、この点に関する注目事項は、やはり、「お金(マネー)の存在」ではないかとも考えている。つまり、「無い袖は振れぬ」や「金の切れ目が縁の切れ目」などの諺のとおりに、「多くの国々で、マネーの枯渇が始まっている可能性」が指摘できるとともに、「対外的ではなく、国家の内部で、いろいろな紛争が始まる可能性」が想定される状況のことである。