本間宗究(本間裕)のコラム
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2024.4.1
尻尾が犬の体を振り回す経済の終焉
日銀から始まり、今後、世界全体に広がっていくものと思われる「中央銀行のバランスシート急拡大」、すなわち、「今後、急速に財政ファイナンスが拡大される可能性」が意味することは、過去40年余りの期間に及んだ「尻尾が犬の体を振り回す経済」の終焉だと考えている。つまり、「実体経済」が「犬の体」、そして、「マネー」が「犬のしっぽ」の状況でありながら、今までは、「実体経済の約10倍の規模にまで膨らんだ世界のマネーが、さまざまな市場価格のコントロールを行いながら、人々の経済活動を支配していた状況」だったものと考えられるのである。
別の言葉では、「1980年代初頭から始まったデリバティブの大膨張」が、世界の経済情勢を本末転倒の状態に導いたものと感じているが、これから予想される展開は、「商品価格の名目的な上昇がもたらす実体経済とマネーとの関係正常化」とも思われるのである。つまり、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」が崩壊することにより、世界の資金が、急速に、実物資産に殺到する可能性が想定されるために、これから予想されることは、世界的な「人々の意識と行動の変化」のようにも感じられるのである。
具体的には、「金の切れ目が縁の切れ目」や「無い袖は振れぬ」などの諺のとおりに、今まで羽振りがよかった「お金のためならどのようなことでもする人々」が排除されたり、あるいは、「マネーの大膨張により産み出された金融商品」などが消滅したりする可能性のことである。つまり、「共同体の規模拡大」が「マネーの大膨張」を生み出したものと考えられるが、最後の段階では、「マネーの大膨張が、さらなる共同体の規模拡大につながった可能性」も想定されるのである。
そのために、これから想定すべき展開としては、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊時」と同様に、「マネーの縮小時に、人々は、どのような行動をとるのか?」を考えることとも思われるのである。つまり、「何が必要で、何が不要なのか?」の選別を厳格にすることでもあるが、実際には、かつての「帝国主義」のような、「武力で他国を侵略する余裕」は、現在、世界的に失われた状況のようにも感じられるのである。
より詳しく申し上げると、「実物資産の価格上昇」がもたらすものは、世界的な食料不足であり、また、「債券」や「不動産」など、既存の金融商品の価格下落とも思われるために、今後は、多くの人々が、「中央銀行のバランスシート」を観察しながら、「自分の生活のために必要な品物」を獲得する行動を始めるものと考えている。