本間宗究(本間裕)のコラム
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2024.4.11
バイデン大統領の苦悩と焦り
「イエレン財務長官の中国再訪」や 「岸田首相の国賓待遇による訪米」などについては、「バイデン大統領の苦悩と焦り」を象徴している出来事のようにも思われるが、実際には、「自分自身の大統領選挙を控え、金融混乱の激化を防ごうとする思惑が見え隠れする状況」のようにも感じられるのである。つまり、「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」から始まった「先進各国のリフレーション政策」、すなわち、「民間資金を利用した国債の買い付けと超低金利政策」が、すでに限界点に達したために、現在では、「CBDC(中央銀行デジタル通貨)の採用による財政ファイナンス(債務の貨幣化)」が目論まれている状況とも想定されるのである。
そのために、現在では、「脱ドル化を目論むBRICS諸国」や「25年ほど前から世界的な金融政策の主導役である日本」に対して、いろいろな働きかけを実施している状況のようにも思われるのである。別の言葉では、「目に見えない金融ツインタワー」である「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務残高」が崩壊しないように、さまざまな方法が画策されている可能性のことである。
より具体的には、「先進各国の中央銀行とメガバンクが協調して、目に見えない金融ツインタワーを解消しようとする動き」のことでもあるが、実際には、「メガバンクが保有する不良債権を、中央銀行のバランスシート大膨張により吸収しようとする目論み」とも想定されるのである。つまり、最近の「日銀のバランスシートの変化」からも明らかなように、「最後の貸し手」と呼ばれる中央銀行が、「市中に対して大量の資金供給を実施しながら、国家の債務残高やデリバティブのバブルなどを解消しようとする思惑」のことである。
別の言葉では、「1945年から日本で実施された金融政策が、世界的に再現され始めた可能性」のことでもあるが、今回の問題点は、やはり、「1971年のニクソンショック以降、信用本位制と呼ぶべき通貨制度に変化した事実」が指摘できるものと考えている。つまり、あまりにも巨額の「デジタル通貨」が産み出され、また、「国民の保有する資産や財産」の内容が、大きく変化した結果として、今後は、「資産の裏側に存在する負債が消滅した時に、資産そのものが無価値になる可能性」も想定されるのである。
より詳しく申し上げると、「国家への信用」が消滅し、「80億人の換物運動」が発生する可能性であり、実際には、「世界中の人々が、一斉に、実物資産の購入に走り始めるとともに、CBDCが紙幣に変化し、金融システムが崩壊する可能性」のことである。