本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.4.15

中ロの誤算

2022年2月24日から始まった「ロシアによるウクライナへの軍事侵攻」から、現在では、2年以上の時間が経過したが、この間の推移を考慮すると、さまざまな観点から「中ロの誤算」が見え隠れする状況のようにも感じている。つまり、当時の状況としては、「中国とロシアが協調して、軍事侵攻を始めた可能性」を想定していたが、この理由としては、「資本主義の崩壊後に共産主義の時代が訪れる」というような「誤った理論」を信奉していた可能性が指摘できるようにも思われたからである。

あるいは、「米国の次に覇権国家となるのは中国である」というような過信を抱いていた状況だったようだが、この点については、「文明法則史学」が教える「800年ごとに東西文明が交代する可能性」を無視していた点が指摘できるものと感じている。別の言葉では、「1600年前の西ローマ帝国崩壊後の世界」の研究を怠っていた状況であり、実際のところ、「西ローマ帝国崩壊後の世界」については、「大帝国の崩壊後に、数多くの小さな共同体への分裂」という状況であり、この点については、「1600年雨の中国」も「五胡十六国」と言われるほど、小さな国々に分裂していた状態だったことも見て取れるのである。

このように、2008年前後にピークを付けた「グローバル共同体」が成立するまでには、「800年間に及ぶ東洋の唯心論的な文明」により「根本の信用」が築かれる必要性があり、その結果として、「800年間の西洋的な唯物論的な文明」、そして、「共同体の規模拡大がもたらした巨大なマネー」が発生したことも理解できるのである。つまり、2年ほど前の中国とロシアは、これからの事実を無視して、単純に、「西洋の先進国は、デリバティブのバブル崩壊により、1991年のソ連のような状態に陥る」というような「短絡的な結論」に辿り着いた状況とも思われるのである。

しかし、彼らの誤算としては、「共産主義」の根底となる「史的唯物論」そのものの誤りと同時に、「中国とロシアそのものが、世界的なマネー大膨張の結果として、経済発展が可能だった事実」を無視した状況とも想定されるのである。つまり、「軍事力や資金力を背景にした帝国主義的な領土拡張政策」そのものが、時代遅れの理論だったことを無視した可能性も考えられるのである。

そのために、今後の展開としては、「中ロの内部分裂」が予想されるが、注目すべき点は、中ロの行為が、「西洋諸国の金融システム崩壊」を加速させた可能性であり、その結果として、間もなく、「何らかの大事件」が、金融面で発生する可能性を想定している。