本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.5.7

マネーとクレジット(2)

「米国中央銀行のFRB」が設立された「1913年」以降、世界の金融システムは、時間をかけて、大きな変貌を遂げてきたことも見て取れるが、この時の注目点としては、「1971年のニクソンショック」により、それまでの「金本位制」が崩壊した点が挙げられるものと考えている。別の言葉では、「金から紙幣、そして、デジタル通貨へ」という変化に関して、「1913年」は「金貨本位制」であり、「Ⅰオンス=20.67ドル」だったものが、その後、「1933年」には「1オンス35ドルに値上げされるとともに、金貨の没収と金地金本位制への変化」が発生したことも見て取れるのである。

また、その後は、「1944年のブレトンウッズ会議」により「金為替本位制」に変化したものの、前述のとおりに、「1971年には、金本位制が廃止された」というように、「金融市場、最大級の大事件が発生した状況」だったことも理解できるのである。つまり、「氷のような状態だった通貨が、その後、水のような状態の紙幣となり、最後には、水蒸気のような状態のデジタル通貨に変化した展開」のことである。

そして、この点に関する「私自身の仮説」としては、「マネーである金(ゴールド)」と「クレジットである紙幣やデジタル通貨」の関係性において、「数量と価格が最終段階で同じになる状況」が指摘できるものと考えている。つまり、「マネーが膨張する過程で、一時的に、クレジットの時価総額が増えるものの、最後の段階では、金価格の上昇により、同じ金額に収斂する可能性」のことである。より詳しく申し上げると、「米国における個人の金保有が、1933年から1974年まで禁止されていた」という理由により、「1971年のニクソンショック」までは、「金の時価総額が、クレジットの総量を下回る状況」だったことも理解できるのである。

また、「1971年から現在までの状況」としては、「金(ゴールド)の時価総額」が、「20万トン×1万3000円=2600兆円」というような状況でありながら、「クレジットの時価総額」としては、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」や「約300兆ドルの世界債務残高」などの「目に見えない金融ツインタワーの存在」からも明らかなように、きわめて巨額の残高が存在することも見て取れるのである。

そのために、これから想定される展開は、やはり、「世界的なハイパーインフレの発生」であり、実際には、「金(ゴールド)を始めとした貴金属、あるいは、穀物や原油などの実物資産の価格が急騰する展開」だと考えている。