本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.5.8

マネーとクレジット(3)

「1913年の米国FRB創設」から「現在」までの「100年余りの期間」については、「1600年前の西ローマ帝国の末期」と同様に、「マネーの大膨張」が発生した時期だったものと考えている。具体的には、「氷のような状態だった金(ゴールド)」が、「経済成長」の熱を帯びながら、「水のような状態の紙幣や預金」から「水蒸気のようなデジタル通貨」へと変化した展開のことである。

そして、この時の注目点は、「1971年のニクソンショック」を境にして、「それまでの約50年間が金本位制の崩壊期」であり、また、「その後の約50年間が、新たな通貨制度が、世界的に実験された期間」だった状況である。つまり、「金本位制」に関しては、「金貨本位制」から「金地金(じがね)本位制」、そして、「金為替本位制」へと変化し、この理由としては、「実体経済の成長に伴うマネー重要の増加」が指摘できるのである。

また、「1971年以降の状況」については、「経済は成長するのが当たり前だ」というような意識と、「政府や通貨に対する信用」を基にして、「信用本位制」と呼ぶべき新たな通貨制度が産み出されたのだが、残念ながら、現時点でも、この点を理解する人が、ほとんど存在しない状況ともいえるのである。つまり、「目に前に発生する現象」については、多くの人々が「当たり前」と捉えがちになるために、いつの間にか、単なる数字が、大切なマネー(お金)」に変化してしまったことも見て取れるのである。

しかし、現時点で注目すべき事実は、すでに、「水蒸気のような状態のデジタル通貨が、徐々に、水のような状態の紙幣に変化し始めた事態」であり、この点については、間もなく、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」が崩壊した時に、世界中の人々が、「新たな時代」の始まりを認識せざるを得なくなるものと感じている。つまり、「1600年前の西ローマ帝国崩壊時」と似たような状況のことでもあるが、今後の注意点としては、やはり、「信用消滅がもたらすマネー残高の実質的な急減」が指摘できるようである。

具体的には、「大量のCBDC(中央銀行デジタル通貨)や紙幣の発行」により、「通貨や政府に対する信用」が急減し、世界中の人々が、慌てて、換物運動に走り始める展開のことである。つまり、「劇場の火事」のような「ボトルネック・インフレ」が発生する可能性のことでもあるが、実際には、「金融大地震」とも言える「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」が作り出した「世界的なインフレの大津波」が、「水上から陸上へと移行し始めた状況」を表しているものと考えている。