本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.6.7

激化する東西対立

2008年前後の「GFC(世界的な金融混乱)」から始まった「グローバル共同体の分裂」、すなわち、「東西の対立」は、現在、日に日に激化している状況であり、間もなく、最終局面を迎えるものと感じている。つまり、「日本の明治維新」の時のように、「開国派と攘夷派が争っていたものの、最後には、徳川幕府体制そのものが崩壊した状況」が、今回は、「東西文明の交代劇」として繰り返される可能性のことである。

別の言葉では、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊時」と同様に、「西洋の物質文明が終焉し、新たな東洋の精神文明が始まる可能性」を考慮しており、また、「文明の大転換」に際して重要な役割を果たすのが、「通貨の大膨張と収縮」とも思われるのである。具体的には、「マネー(お金)」と「クレジット(信用)」という言葉で表されるように、「1913年の米国FRB創設」以降、「金(ゴールド)」を基にして、「大量のクレジット通貨」が創り出された状況でもあったが、現在では、「中国やロシアなどの国々が、この動きに対して、異論を唱え始めている状況」ともいえるのである。

つまり、「貴金属の大量購入」により、「デジタル通貨の膨張で巨大化したクレジット市場」に対して、一石を投じ始めた状況、すなわち、「貴金属」対「デリバティブ」という対立構造が、リーマンショック以降、明確化し始めていた展開のことである。そして、この点については、現在、徐々に、世界的な理解や認識が深まっている状況とも想定されるが、今後、最も重要なポイントとしては、やはり、「金融問題の本丸であるデリバティブに対して、何らかの事件が発生する可能性」ともいえるのである。

より詳しく申し上げると、現在は、「水蒸気の状態だったデジタル通貨が、巨大な雲を形成するとともに、間もなく、紙幣の雨を世界に降らそうとしている状態」とも想定されるのである。そして、この事実に対して、依然として、「デリバティブを利用した価格操作」が、西側諸国の金融当局者により実施されているものの、結果としては、「巨大な雲が支えきれず、徐々に、紙幣の雨がこぼれ落ちている状況」とも考えられるのである。

そのために、これから必要なことは、「自分の資産に対する安全の確保」であり、実際には、「マネーの歴史」を認識しながら、「金や銀、そして、プラチナなどの貴金属を、実物資産で保有すること」である。つまり、本来の「マネー(お金)」を保有することにより、「世界的なクレジット市場の大混乱から、自分の身を守ること」であり、現在では、この点に関して、時間的な余裕が無くなった状況のようにも感じている。