本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.6.9

政治とカネ

現在の「政治とカネの問題」、すなわち、「自民党の裏金問題」については、今まで、「短期間で終結する小さな問題ではないか?」と考えていたが、現在、再認識し始めたことは、「政治の根本」とも言える「国家の統治」の観点から、「決して、侮れない問題ではないか?」ということである。つまり、「国家の統治」に関して、最も重要なポイントの一つは、「国民から集めた税金を、どのように使うのか?」ということでもあるが、現在、海外では、この点に関して、「利払い費用の増加」が、大きな注目を集め始めているのである。

具体的には、「米国の利払い費が、国防費を上回る可能性」などが危惧されている状況であり、この理由としては、「米国の急激な金利上昇が、国債の利払い費を急増させた事実」が挙げられるのである。つまり、現在は、「国民の不満と危機感」が高まっている状況であり、その結果として、「既存の金融システムから資金を引き揚げる動き」が発生していることも見て取れるのである。

そして、このような「西洋諸国における国民の不満」に関しては、「独裁国家のロシアや中国」とは、「異質な状態」ではあるものの、「規模的には、同じ程度にまで膨れ上がっているのではないか?」とも感じられるのである。つまり、「国家の統治形態」に関しては、基本的に、「共同体の規模により変化する状況」のようにも思われるが、現在の「世界的な共同体の状況」としては、「グローバル共同体の分裂により、数多くの小さな共同体が発生しかかっている状況」とも想定されるのである。

その結果として、今後は、「統治の形態」に、大きな変化が発生するものと感じているが、実際には、「1600年前の西ローマ帝国崩壊後の世界」が、再度、繰り広げられる可能性である。つまり、「信用崩壊による人々の不信感の高まり」が、共同体の分裂を引き起こすものと思われるが、現時点では、「政治家や官僚に対する不信感」が最終的な段階に達したものと思われるために、今後は、「日本の国家財政が、金利上昇により、ほぼ瞬間的に、1991年のソ連のような状態に陥る可能性」も危惧されるのである。

より詳しく申し上げると、「1999年から現在までの日本」は、「国民の預金を利用して、実質的なゼロ金利政策の実施が可能な状況」だったが、今回の「自民党の裏金問題」により、「国民が、このからくりに気づき始めた可能性」も考えられるのである。つまり、「戦後の日本人」と同様に、「軍国主義の誤りに気づかされるとともに、一挙に、民主主義に走り始めた展開」が、今後、「資金移動」の面で繰り返される可能性である。