本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.6.13

万人が呆れ果てたる値

「万人が呆れ果てたる値が出れば、それが高下の界なりけり」という相場の格言のとおりに、「相場や世の中の大転換期には、誰もがびっくりするような価格が付く展開」が発生するものと考えている。具体的には、「1600年代初頭のオランダのチューリップ」であり、また、「現在のマグニフィセント7と呼ばれる銘柄群」などのことだが、私自身としては、「過去48年間に、5回ほどの記憶に残る体験をしたことにより、相場の実践に役立っている状況」のようにも感じている。

具体的には、「1980年の貴金属バブル」や「1990年前後の日本株と土地のバブル」、そして、「2000年前後のITバブル」であり、また、「2010年前後のデリバティブバブル」や「現在の何でもバブル」のことである。別の言葉では、「ほぼ10年に一度のバブル」を、複数回にわたり、実際に経験したことにより、「マネーとクレジットの本質」が理解できた状況のようにも感じられるのである。

より詳しく申し上げると、「1980年の貴金属バブル」については、「マネーである金(ゴールド)や銀(シルバー)などが、呆れ果てたる値にまで急騰した状況」であり、また、「1990年の日本株と土地のバブル」については、「金(ゴールド)などから派生したクレジット(信用)が、民間銀行のバランスシートを大膨張させながら、日本の株式や土地などを呆れ果てたる値にまで急騰させた状況」だったことも見て取れるのである。

ただし、「2000年のITバブル」と「2010年前後のデリバティブバブル」、そして、「現在の何でもバブル」に関しては、「民間金融機関が、オフバランス(簿外)で資産と負債を大膨張させた状況」のために、それまでのバブルとは異質な状態だったようにも感じている。つまり、「デジタル通貨が作り出した、一種の金融界のブラックホールのような状況」が産み出されるとともに、「全ての金融資産が、デリバティブにより価格操作された可能性までもが疑問視された状況」だったことも見て取れるのである。

その結果として、「世界的な債券バブルとマイナス金利」や「世界的な不動産や株式のバブル」などが発生したものの、現在では、「デジタル通貨が紙幣に形を変えながら、徐々に、実物資産へ向かい始めた状況」とも想定されるのである。そして、今後は、「最後のバブル」とでも呼ぶべき「実物資産の価格が呆れ果てたる値にまで急騰するハイパーインフレの発生」が想定されるが、この理由としては、やはり、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制と呼ぶべき通貨制度の完全崩壊」が指摘できるようである。