本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.6.18

きんさん&ぎんさん(百歳の双子)

1987年のブラックマンデーに大きな衝撃を受けた私は、その後、「貨幣の歴史」や「お金の謎」などの研究を始めたが、その数年後の1991年に話題となったのが、「百歳の双子のきんさん&ぎんさんのニュース」だった。そして、このことは、何らかの「天からのメッセージ」のようにも感じられたが、具体的には、「金や銀の価格が、今後、百倍になる展開」を示唆している可能性だった。

より詳しく申し上げると、当時の私は、「1971年のニクソンショック」が、マネーの大膨張に対して、大きな影響力を持っている事実を理解し始めるとともに、「マネーの総量」と「金や銀の時価総額」を比較すると、「今後、金や銀の価格が百倍になってもおかしくはない」と認識し始めていたことも思い出されるのである。つまり、私自身にとって、「百歳の双子」のニュースは、まさに驚愕的な出来事であり、その後も、折に触れて、思い出している状況ともいえるのである。

また、現時点の感想としては、「33年後の2024年で、金や銀の価格が10倍程度の上昇を見せた状況」のために、「残りの10倍は、今後、短期間のうちに達成が可能ではないか?」という点が指摘できるものと考えている。つまり、「本当のインフレは、100万人に一人も気付かないうちに進行する」というレーニンやケインズの言葉のとおりに、今回も、ほとんどの人が認識しない状況下で、「インフレの大津波」が目前に迫っている段階とも想定されるのである。

より具体的には、「デリバティブの大膨張」により創られた「大量のデジタル通貨」を利用して、今まで、「金利や株式、そして、為替や商品などの価格が操作された状況」が、今後、大転換期を迎える展開のことである。別の言葉では、「海中のビーチボール」のような状態となっている「世界の金融市場」が、今後、「水面上」へ、急激な勢いで飛び出し始める状況のことである。

そして、このことが、「金融界のホーキング放射」と呼ばれる現象とも思われるが、実際には、「金融界のブラックホールに存在した大量のデジタル通貨が、紙幣に変換されながら実物資産へ殺到する展開」のことである。つまり、33年後の現時点での理解としては、「百歳になったきんさんとぎんさんが、老後の貯金を心配した状況」が、「老齢化した日本人にとって、最も大切なものは、金や銀などの貴金属である事実を、前もって、教えてくれていた状況」のようにも感じられるのである。