本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.7.4

星野リゾートトマムの売却

先日、中国企業による「星野リゾートトマム」の売却のニュースが出ていたが、この記事から思い出されたのが、「35年ほど前に、米国ファンドマネージャーから教えられた投資の教訓」だった。具体的には、「海外不動産投資の難しさ」だったが、実際には、「1980年代後半の日本人による米国不動産投資」について、「1970年代後半のオイルマネーと同様に、最後には失敗し、資金を引き揚げる結果になる」というものだった。

そして、実際の展開としては、ご存じのとおりに、「ロックフェラーセンターを購入した三菱地所」を始めとして、「多くの投資家が、損切りによる撤退を選択せざるを得ない状況にまで追い込まれた」という状況だったのである。つまり、「70年代のオイルマネー」や「80年代の日本の不動産バブルマネー」については、「余剰資金で米国の不動産に投資し、一獲千金を狙った」というような状況だったものの、結果としては、「原油価格の下落」や「日本のバブル崩壊」などにより、あっという間に、米国からの資金引き上げを迫られた展開となったのである。

そのために、10年ほど前に騒がれた「中国資本による日本の土地購入」についても、最後には、米国と同様の結果になるものと考えていたが、今回の「星野リゾートトマム売却」のニュースは、今後、「中国資金の引き上げ」が、より一層、活発になる兆候の出来事とも思われるのである。別の言葉では、「中国国内の不動産バブル崩壊」については、「1990年代の日本」をはるかに超える規模とも思われるために、今後は、「日本に投資されていた資金が、急速に、中国国内に回帰する事態」も想定されるのである。

しかも、今回は、「世界的な金融大混乱」も重なっているために、今後は、より一層、「信用の消滅」と「マネーの枯渇」が激しさを増してくるものと考えているが、その結果として予想される展開は、「中国における資金繰り」が、これから急速に悪化する展開とも想定されるのである。

つまり、「2024年の世界的な金融混乱」については、「米国や日本の土地バブル崩壊がもたらした混乱」とは違い、「800年間も継続した『西洋の富の時代』の終焉が、根本的な原因」のようにも考えられるのである。より具体的には、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊」が、最も参考になる前例とも思われるために、これから必要なことは、決して、自分自身の独断偏見に惑わされないことであり、また、「歴史の全体像」を考えながら、どのような混乱にでも対処できる覚悟のようにも感じている。