本間宗究(本間裕)のコラム
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2024.7.3
米国大統領選挙とオリンピック
現在の「世界的な金融混乱」については、「2008年と似てきたのではないか?」という意見が、海外で頻繁に聞かれる状況となってきたが、この理由としては、「米国大統領選挙の前に北京オリンピックが開かれたものの、その直後にリーマンショックが世界を襲った状況」が、今回も繰り返される可能性が危惧されているからである。別の言葉では、「2007年から始まったサブプライム問題が激化し、2008年9月15日に世界金融を揺るがすような大事件が発生した状況」に関して、今回は、「2023年3月から始まった米国の金融混乱が、農中の巨額損失などをキッカケとして、デリバティブの完全崩壊を引き起こす可能性」が、大きな注目を浴び始めている状況となっているのである。
ただし、私自身としては、この点に関して、「表面的には、確かに、2008年と似たような状況である」と認識しながらも、一方で、「根本的な原因としては、1998年の方が、より当てはまっているのではないか?」とも考えている。つまり、「1997年から始まった世界的な信用収縮が、その後、1998年に、長銀の国有化やLTCM事件などを引き起こした状況」の方が、「不良債権の膨張」と「金融システムの崩壊」という観点からは、現在とよく似た状況のようにも感じられるのである。
より詳しく申し上げると、「1980年代初頭から始まったデリバティブの大膨張」に関して、「前半の20年間」は、「日本を中心とした民間金融機関のバランスシート大膨張」をもたらした状況だったものの、「後半の20年間」は、「民間金融機関の簿外におけるバランスシート大膨張」を引き起こした状況だったことも見て取れるのである。別の言葉では、仮に「1998年から2008年までのデリバティブの大膨張」が存在しなかった場合に、「1998年に、金融システムの崩壊が発生していた可能性」も想定されるのである。
しかし、実際の展開としては、「デリバティブの大膨張」により、「時間稼ぎ」と「問題の先送り」が実施されたものの、現在では、「1998年の金融混乱」と比較して「約30倍規模の不良債権」が、世界的に存在する状況とも想定されるのである。しかも、現在では、「雪だるま式に膨れ上がった不良債権」が、いよいよ、「金融界のブラックホール」を抜け出て、「現実世界」に飛び出そうとしている状況とも理解できるのである。
そして、このキッカケが、「米国銀行の生前遺言」で述べられていた「デリバティブの巨額損失」とも思われるために、今回の「パリオリンピック」については、その後に、「人類史上最大規模の金融大混乱が発生する可能性」を憂慮すべき状況とも感じている。