本間宗究(本間裕)のコラム
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2024.7.10
資本主義存続の必要条件
現在は、「核兵器を使用した第三次世界大戦の発生」までもが危惧されるほどの状況でもあるが、この理由としては、「2010年前後に完成したグローバル共同体の分裂」が挙げられるものと考えている。つまり、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊時」と似たような状況とも思われるために、現時点で必要なことは、「共同体が、どのようにして発生し、また、どのような状況下で分裂を始めるのか?」の理解とも言えるようである。
別の言葉では、「人類の歴史」を辿ると、「500万年ほど前に誕生し、数万年の文明期を経た状況」とも理解されている状況でもあるが、「人類の発展」に関して、最も重要なポイントとしては、「分業による生産性の向上」が指摘できるものと思われるのである。つまり、「同じ価値観を共有し、力を合わせて共同作業をすること」であり、その結果として、「共同体の規模拡大」が発生した展開のことである。
より具体的には、無人島に一人で住んでいる場合には、共同体が存在しないものの、そこへ、もう一人が流れ着いた場合には、「殺し合いか、それとも共同体の結成か?」という問題が発生してくるのである。そして、いったん、「共同体」が結成されると、その後は、「分業による生産性の向上」と「専門家による盲目状態」が、同時に発生することも見て取れるが、現在、必要なことは、「西暦400年前後の西ローマ帝国崩壊時に、どのような社会変動が発生したのか?」、あるいは、「西暦2000年前後までに、どのような過程を経て、グローバル共同体が形成されたのか?」の理解のようにも感じられるのである。
具体的には、「西暦400年から1200年までの約800年間」については、「仏教を中心とした東洋の精神文明の勃興と形骸化の時期」であり、この過程で認識されたのが、「神への畏敬」であり、また、「人々の間における信用の重要性」だったようにも思われるのである。そして、その後の「西暦1200年から2000年までの約800年間」については、「西暦400年前後の西ローマ帝国」と同様に、「西洋の物質文明が発展、成熟し、マネーの大膨張や大都市の文明がピークを迎えた時期」だったことも見て取れるのである。
しかし、現在では、共同体の存続に必要不可欠な条件である「殺し合いをせずに共同作業を行う態度」が失われた状況であり、その結果として、今後は、「共同体の分裂」が加速するとともに、「信用を基に大膨張したデジタル通貨の完全崩壊」も想定されるのである。つまり、「自分さえ良ければいい」という態度と「目に見えるもの」を求める行動が産み出した「お金(資本)が、最も重要(主義)である」という価値観の崩壊である。