本間宗究(本間裕)のコラム
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2024.7.9
アメリカ帝国の崩壊
現在、海外で、いろいろな識者が指摘し始めたことは、「アメリカ帝国の崩壊」であり、実際には、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊」などと同様に、「国家の財政破綻が、ハイパーインフレを引き起こすとともに、国家統治が機能不全に陥る状態」のことである。そして、現在の「西洋諸国の政治混乱」についても、「帝国崩壊の予兆的な事件である」というように認識されているために、今後の数か月間については、決して予断を許さない状況のようにも感じている。
より詳しく申し上げると、現在は、「政治家に対する、国民の信頼感の減少」が発生しており、実際には、政治家が実施してきた「ばらまき政治による権力の維持」に対して、「持続可能性に対する疑問」を、国民が抱き始めた状況とも言えるのである。つまり、「生活苦にあえぐ国民が、政治家の言葉を信用できなくなった状況」とも思われるために、今後は、「革命的な動きまでもが発生する可能性」が、海外で危惧されているのである。
別の言葉では、東洋学が指摘する「非理法権天」、すなわち、「非合理は合理に進化するものの、その後、法律に縛られた人々が権力の暴走を許す状態となるが、最後には、天地自然の理が復活する」という展開において、現在は、「最終段階」に差し掛かっている状況とも想定されるのである。つまり、「共同体の規模拡大に伴う統治形態の変化」を考えると、現在は、「1600年前の西ローマ帝国」や「1991年のソ連」などが参考になるものと感じているが、実際には、「国債の買い手が消滅した時に、ソ連の国家財政が破綻し、国家が分裂した状況」であり、また、「パンとサーカスの生活に慣れきったローマの人々が、財政破綻とインフレに悩まされ、大都市での生活が難しくなった状況」のことである。
そのために、現在の「世界的な政治混乱」、すなわち、「フランスやイギリス、あるいは、日本やアメリカなどにおける、政治家に対する国民の不満」については、今後、さらなる進展を見せる可能性も想定されるのである。具体的には、「政治家に対する不信感が、今後、通貨に対する不信感に変化する可能性」であり、その結果として、「1991年のソ連」などと同様に、短期間のうちにハイパーインフレが発生する展開のことである。
しかも、今回は、「約300兆ドルの世界債務残高」に加えて、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」という「目に見えない金融ツインタワー」が、世界に聳え立っている状況でもあるために、これから想定される「世界的な金融大混乱」については、やはり、「人類史上、最大規模になる可能性」も考えられるようである。