本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2024.7.16

投資対象の先鋭化と価格の急騰

「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」以降に発生している現象は、「投資対象の先鋭化と価格の急騰」だと感じているが、実際には、「金融逆ピラミッドの内部において、デリバティブが創り出したデジタル通貨が、徐々に、下部に位置する債券や土地、そして、株式などにメルトダウンしている状況」である。より具体的に申し上げると、最初に、「国債を始めとした債券価格の上昇」が始まったわけだが、最後の段階では、「人類史上初めての、世界的なマイナス金利」が発生したことも見て取れるのである。

そして、結果としては、「債券を購入する主体」と「債券を発行する主体」の両方が、「超低金利状態やマイナス金利の影響を受けた状況」でもあったが、結局は、「投資理論」のとおりに、「上昇エネルギーが使い果たされた時に、価格の下落が始まり、次のバブル形成へとデジタル通貨が流れ始めた状況」だったことも理解できるのである。具体的には、「世界的な土地バブルの発生と崩壊」のことだが、その後の展開としては、ご存じのとおりに、「米国におけるマグニフィセント7の株価急騰」だったことも見て取れるのである。

このように、「2008年からの約15年間」については、「巨大な市場規模の投資対象」から、徐々に、「より小さな市場規模の投資対象」への「先鋭化」が発生するとともに、「個別銘柄の価格急騰」が、より一層、鮮明化している状況のようにも感じられるのである。別の言葉では、「それぞれのバブル発生と崩壊」に関して、いろいろな主体に「不良債権」が発生したものの、結局は、「より巨大な主体による、さらなる資金追加により、金融システムの崩壊が防がれた」という展開だったものと考えられるのである。

そして、現在は、「株式市場のバブル崩壊」が懸念されるとともに、「次の投資主体」ともいえる「金属などの実物資産」に対して、大量の資金が流れ込み始める可能性が想定され始めているのである。別の言葉では、「中央銀行や国家の資金繰りが厳しくなり始めた状況下で、世界的に、大量の紙幣増刷が実施される可能性」が高まっており、そのために、多くの投資家が、「実物資産への資金移動」を考慮し始めた状況のことである。

その結果として、最終段階で発生する現象は、「生活に必要な食料などへの資金移動」であり、この点については、「1923年のドイツのハイパーインフレ」などが参考になるものと考えている。具体的には、「約6ヶ月」という短期間のうちに、それまでに作り上げられた「資産」や「負債」の全てが、劇的な価格変化を見せる展開のことだが、今回の注目点は、やはり、「世界全体で、この変化が発生する可能性」のようにも感じている。