本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.7.18

金本位制が復活する可能性

7月18日付けの日経新聞に、「金本位制が復活する可能性」に関する記事が掲載されていたが、この点については、「貨幣の歴史」の研究と、「現在が、どのような状況下にあるのか?」の理解が必要な状況のようにも感じている。別の言葉では、「53年前の1971年」に、当時のニクソン大統領が、一時的に中断した「金(ゴールド)とドルとの交換」について、「なぜ、このようなことが起こったのか?」に関する正確な理解や認識が必要な状況とも思われるのである。

より詳しく申し上げると、「金(ゴールド)」については、5000年以上もの長期間にわたり、「貨幣としての役割」を果たしてきたものの、「1971年の8月15日以降」は、「信用本位制」と呼ぶべき、まったく新たな通貨制度が採用された状況のようにも思われるのである。そのために、現時点では、「金(ゴールド)を本位とした通貨制度が、なぜ、1971年に崩壊したのか?」、あるいは、「なぜ、その後に、『信用』を本位とした通貨制度が作り出されたのか?」などの理解が必要な状況だと考えている。

そして、この点については、今までに詳しく述べてきたとおりに、「1600年前の西ローマ帝国崩壊」が参考になるものと考えているが、実際には、「共同体の規模拡大に伴う信用の量的増加が、マネーの残高増加に貢献した状況」のことである。別の言葉では、現在の「未曽有の規模の世界的なマネー残高」が積みあがるまでには、「1600年」という長い期間が必要だった可能性のことである。

以上のような要因の結果として、現在では、「影も形も存在しない『単なる数字』が通貨となり、世界のコンピューターネットワークを駆け巡りながら、さまざまな市場価格の形成において、大きな影響を与えている状況」であることも見て取れるのである。ただし、「信用は、一瞬のうちに崩壊する」という言葉のとおりに、現在の「人類史上、未曽有の規模のマネーが存在する状況」に関しては、「たいへん近い将来に、劇的な変化が、世界の金融市場で発生する可能性」も想定されるのである。

そして、この点に関して、もっとも大きな影響を与える可能性としては、「トランプ氏の目論み」といわれる「金本位制の復活」が想定されるとともに、この点の理解において現時点で必要なことは、「1971年から現在までに、どれほどのマネーやクレジットが創り出されたのか?」、あるいは、「負債が消滅した時に、その裏側に存在する資産も同時に消滅する可能性」などについての、深い理解や認識ともいえるようである。