本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.9.1

通貨発行益と税金(1)

貨幣の歴史をたどると、「20世紀から21世紀にかけての世界的なマネーの大膨張」については、「1600年前の西ローマ帝国の末期」を上回り、人類史上、最大規模だったものと理解できるが、この原因としては、やはり、「村山節(みさお)の文明法則史学」が教える「800年ごとに交代する東西の文明」が挙げられるものと考えている。つまり、「自然科学」における「ケプラーからニュートンへという展開」が、現在、「社会科学」においても発生している可能性が想定されるものと思われるが、実際には、「四次元の経済学や社会科学」ともいえる「未来予測が可能な状況」への発展である。

別の言葉では、「ライプニッツの予定調和説」などが指摘する通りに、「人類の進化」に関しては、「神の見えざる手」が働いており、今後も、さらなる進化が想定される可能性のことである。つまり、「11次元にまで進化した自然科学」を参考にしながら、今後、「社会科学が飛躍的な発展な発展を遂げる可能性」のことでもあるが、この時に重要な役割を果たすのが、「お金の謎」の解明のようにも感じられるのである。

より詳しく申し上げると、「マネーが、どのようなメカニズムで膨張し、また、収縮するのか?」ということだが、この点に関して、重要な役割を果たしているのが、「通貨発行益と税金」のようにも感じている。つまり、資本主義の初期段階では、「実体経済の成長に伴い、マネーの膨張が発生する展開」だったことが理解できるが、その後は、「中央銀行の創設」とともに、「金本位制の変遷」と「信用だけを本位とした全く新たな通貨制度」が産み出されたことも見て取れるのである。

そして、この過程で、「どの主体が、どのような通貨発行益を得ていたのか?」を考えることにより、「マネー大膨張の歴史や、今後、どのような展開が想定されるのか?」が理解できるものと思われるのである。別の言葉では、「金本位制」の時に制限されていた「通貨発行益の獲得」については、「1971年のニクソンショック」以降、「糸の切れた凧」のような状態となり、「無制限に増え続けた状況」だったことも理解できるのである。

また、この時の注目点としては、「民間部門で産み出された利益が、税金という形で、国家によって吸収された事実」ともいえるのである。つまり、「四種類の税金」が課されることにより、徐々に、「民間の資金が、国家によって吸収された状況」でもあったが、今後の注目点としては、やはり、「紙幣」という最終形態により、「国家がすべての通貨発行益を得る可能性」だと考えている。