本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.9.2

通貨発行益と税金(2)

日本の国家財政は、現在、「第二次世界大戦の敗戦時」と同様の危機的な状況に見舞われているが、同時に理解できることは、「過去80年ほどの期間に、どれほどのマネーやクレジットが創り出され、また、どのようにして税金が課されたのか?」に関する詳細な分析が、現在のわれわれに可能な状況である。つまり、「戦後の日本人の経験」が、将来的に、経済学における貴重な財産になる可能性のことだが、実際には、「どのようにして資産や負債が積み上げられ、また、税金で国家に吸収されたのか?」が理解される点である。

別の言葉では、「お金の謎や性質」に関して、人類史上、貴重な資料のようにも思われるが、具体的には、「1945年から1971年までの約26年間」が、「付加価値の増加がもたらした民間部門のバランスシート膨張」だった状況のことである。つまり、この期間は、「実体経済の成長が導いた正常な経済成長」だったものの、その後の「1971年から1997年までの約26年間」については、「民間金融機関のバランスシート膨張がもたらした経済の金融化」という状況だったことも見て取れるのである。

より詳しく申し上げると、「不動産と株式のバブル発生により、民間の金融機関に多額の通貨発行益がもたらされた時期」だったが、「バブルの崩壊後は、バランスシートの非対称性により資産価格だけが下落して、大量の不良債権が発生した状況」だったことも理解できるのである。つまり、「バブル時に増加した民間金融機関の貸し出し、そして、負債」については、結局のところ、「バブルの崩壊により、多額の不良債権へと変化した状況」だったものと想定されるのである。

また、この時に考えなければいけない点は、「戦後の約80年間に、どれほどの税金が、どのように課されたのか?」ということだが、実際には、「1945年から65年までは、所得税などの目に見える現在の税金」だったものが、その後は、「国債の発行」という「目に見える将来の税金」が追加されたことも理解できるのである。

そして、現在は、「量的緩和(QE)によるインフレ税が、国民の気付かない形で課されていた段階」が終了するとともに、間もなく、「国民の気付く形でインフレ税が課される段階」へと移行するものと想定されるのである。つまり、過去の歴史が教えるように、「約6ヶ月間のハイパーインフレ」が発生する可能性が高まっている状況とも思われるが、このキッカケとなるのは、やはり、「金融界の大量破壊兵器」と呼ばれる「デリバティブの完全崩壊」とも言えるようである。