本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2024.9.29

デリバティブとCBDC

日本では、ほとんど議論されていないが、海外では、現在、私と同様に、「金融システムや通貨制度の崩壊を危惧する意見」が増えており、しかも、この時に、「デリバティブとCBDC(中央銀行デジタル通貨)の関係性」が指摘され始めている。つまり、「約600兆ドルものOTCデリバティブ」については、いまだに「バブルの崩壊」を象徴するような事件が発生していないものの、水面下では、「大事件の発生後に、不良資産の受け皿となるCBDCの大量発行が、世界的に目論まれている状況」とも認識されているのである。

また、この点については、「BRICS諸国の新通貨計画」が急速に進展している状況であり、実際には、2024年に実用化段階に入るといわれている「BIS(国際決済銀行)が主導するmBridge」、すなわち、「各国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)システムを相互接続させるプロジェクト」を利用した「新たな通貨制度」のことである。そして、この決済システムの実施により、「大量のCBDC」が発行されるとともに、「その資金の活用により、デリバティブの残高消滅が計画されている可能性」も想定されるのである。

より詳しく申し上げると、「西側諸国の民間銀行が簿外で大量創造したデリバティブ」については、現在、「バブル崩壊の隠ぺいが難しくなっている状況」であり、そのために、前述の「mBridgeプロジェクト」が計画されたものと考えられるのである。ただし、この時の問題点としては、「CBDCの大量発行が、紙幣の大増刷と同じ経済的な効果を持つ事実」が指摘できるために、実際には、「政府や通貨への信用が完全消滅することにより、世界中の人々が、一斉に、実物資産への換物運動を始める可能性」も想定されるのである。

しかも、「80億人の換物運動」が始まった時には、「CBDCが紙幣に交換され始める展開」も想定され、この結果として発生するのが、「金融界の白血病」、すなわち、「紙幣がコンピューターネットワークの中を流れることができない事態」であることも理解できるのである。つまり、現在の「デジタル通貨」に関しては、「世界中の人々が、通貨に対する絶大な信用を保持している状況下で誕生した事実」が指摘できるが、今後の世界的な金融大混乱期には、「デジタル通貨が、全面的に価値を失う可能性」も想定されるのである。

そして、このことが、現在、多くの中央銀行が、現物の金(ゴ-ルド)を買っている理由であり、また、「国債と金を巡る戦い」、すなわち、「先進諸国が先物の金を売り、国債を買い支えている動き」が発生した原因でもあるが、今後の注目点は、やはり、「デリバティブの崩壊」と、今までの残高の「巻き戻し」が急激に発生する状況のようにも感じている。