本間宗究(本間裕)のコラム
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2024.9.24
貨幣の謎
「人類史上、いまだに、貨幣の謎を解いた人は存在しない」ということが、現在の「経済学」における定説でもあるようだが、この理由として考えられることは、「過去100年間の変化が、あまりにも急激だった可能性」が挙げられるものと感じている。別の言葉では、「過去100年間、人々が想像もできなかったような大変化に見舞われたために、いまだに、ほとんどの人が変化の内容を理解できていない可能性」である。
より詳しく申し上げると、「1600年前の西ローマ帝国崩壊」以降、「貨幣は、金(ゴールド)や銀(シルバー)である」ということが「当たり前の状態」であり、その結果として、「誰も、貨幣の謎などを考える必要性が存在しなかった状況」とも想定されるのである。つまり、「金や銀の残高」に大きな変化が発生しなかったために、現在のような「貧富の格差が広がる展開」が存在しなかったものと思われるが、この点に関して、大きな変化が始まったのが、「世界的な中央銀行の設立」だったものと考えられるのである。
具体的には、「貨幣は金(ゴールド)であり、その他はクレジット(信用)である」という言葉のとおりに、「中央銀行の設立以降、大量の不換紙幣が発行された状況」となっており、また、この点に関する「極めつけの手法」としては、「世界的なコンピュータネットワークの中で、単なる数字がデジタル通貨となり、世界中で、商品と交換可能な状況」とも言えるのである。つまり、「1971年のニクソンショック」以降、「世界の通貨は、それまでの常識が通用しない状況」に変化した結果、「貨幣理論」についても、ほとんどの人が理解できない状態に陥ってしまったものと考えられるのである。
そのために、現時点で必要なことは、「過去100年、あるいは、200年余りの期間に、どのような変化が、世界の通貨や金融システムに発生したのか?」を、具体的な数字でとらえる努力とも言えるのである。別の言葉では、「どのような主体が、どのような方法で通貨発行益を得たのか?」、あるいは、「バランスシートの非対称性」を理解しながら、「どの主体に、どのようなメカニズムで不良債権が発生し、資金繰りの悪化が発生したのか?」を考えることである。
ただし、この結果として得られる答えは、「金(ゴールド)が、過去5000年間、貨幣として通用してきた事実」、そして、「現在のデジタル通貨が、間もなく、雲散霧消する可能性」とも思われるが、同時に理解できることは、「過去50年余りの期間が、貨幣の謎が解明されるために必要な時間だった可能性」とも言えるようである。