
本間宗究(本間裕)のコラム
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2024.10.3
金融破綻のメカニズム(4)
「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」を境にして、世界のマネーやクレジットに、大きな変化が発生したものと感じているが、実際には、「民間部門のバランスシート膨張が止まり、中央銀行のバランスシートが膨張し始めた状況」のことである。別の言葉では、「四種類の税金」のうち、「目に見える現在と将来の税金」に加えて、三番目の「国民が気付かない形でのインフレ税」が課され始めたものと想定されるのである。
より詳しく申し上げると、「日銀」を中心にして、「中央銀行が民間部門から資金を借り入れて、国債を購入した事実」については、「民間部門の資金を国家へ移転させる効果」を持つことも理解できるのである。つまり、「リフレーション政策」と呼ばれる金融政策でもあるが、この時の問題点としては、「誰が、どのようにして、国家の借金を返済するのか?」が指摘できるのである。
より具体的には、「1945年の日本」などと同様に、「最後の段階で、紙幣の増刷が実施される可能性」が危惧されるわけだが、この点に関して、今回、最も難しかったことは、やはり、「デリバティブを利用した民間金融機関のバランスシート大膨張」が挙げられるものと感じている。つまり、「2009年から始まった先進各国のQE(量的緩和)」については、「デリバティブの崩壊を隠ぺいするために、中央銀行が国債などの大量買い付けを実施した状況」とも想定されるものの、多くの人々は、「この結果として発生した何でもバブル」に目を奪われた状況だったことも見て取れるのである。
別の言葉では、「膨張し続ける国家の債務残高」や「中央銀行が国債を買い続ける理由」などを無視して、「目先のマイナス金利」と「その結果として発生した土地や株式のバブル」に熱中した状況だったことも理解できるのである。しかし、相場の常として言えることは、「時が全てを証明する」という言葉のとおりに、「異常事態は長続きせず、必ず、正常な状態に回帰する事態」であることも見て取れるのである。
しかも、今後は、「四種類の税金」の四番目に相当する「国民が気付く形でのインフレ税」が、世界的に課され始めるものと思われるが、実際には、「中央銀行によるCBDC(中央銀行デジタル通貨)の大量発行、あるいは、紙幣の大増刷が実施される可能性」である。つまり、「中央銀行が大量の通貨発行益を得て、今までの不良債権を一掃する可能性」のことでもあるが、この結果として発生する現象は、やはり、「人類史上、未曽有の規模での世界的なハイパーインフレ」のようにも感じている。