
本間宗究(本間裕)のコラム
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2024.10.17
日銀に残された時間
世界的な投資家、あるいは、金融市場の興味と関心は、今までの「DX革命や生成AI」から、現在の「先進各国の財政事情」へと、急激な転換期を迎えている状況とも思われるが、この点に関して、最も注目すべきポイントは「日銀に残された時間」とも言えるようである。別の言葉では、「金融のメルトダウン」の状況として、今までは、「債券から不動産、そして、株式へ」という順番で世界の資金が流れて来たものが、現在では、「何でもバブルの最終章」が始まり、その結果として、「大量の資金が、貴金属などへの実物資産へ流れ始めた状況」のようにも感じられるのである。
より詳しく申し上げると、海外では、以前から、「日本はゾンビ国家ではないか?」というような意見が出るとともに、「GDP比で250%を超えるほどの国家財政赤字を、今後、どのように処理するのか?」に、多くの人々が注目している状況だったのである。別の言葉では、「日本初のハイパーインフレが、世界的に発生する可能性」が危惧される状況だったが、今までの日本では、「世界的な超低金利状態に助けられ、日銀の資金繰りに問題が発生しなかった」という展開だったことも見て取れるのである。
そのために、現時点で必要なことは、「日銀の財政状態に関する限界点の分析」だと考えているが、実際には、「1ドルが160円」、そして、「短期金利の0.5%」が「日本国家の体力が完全に失われる時ではないか?」と感じている。つまり、現在の「植田日銀総裁」にとっては、「二度の利上げ」がもたらした「一時的な円高状態」により、「時間稼ぎができた」と考えている状況とも思われるが、今後の展開としては、「160円の円安が再来した時に、通貨防衛の利上げが必要とされる事態」も想定されるのである。
より具体的には、「日銀の当座預金に対する利払い費」が「日銀保有の国債から受け取る利息」を上回るのが「0.5%の短期金利」とも想定されるために、今までは、「あらゆる手段を講じながら、時間稼ぎと問題の先送りに腐心してきた状況」とも思われるのである。つまり、「日銀が債務超過の状態に陥る危機」を免れるために、今までは、「国民の預金」や「デリバティブ」などを利用しながら、「人類史上、未曽有の超低金利状態を造り出してきた状況」だったことも理解できるのである。
しかし、現在では、「残された時間」が少なくなるとともに、「政治家のばらまき予算」などによる「国家の財政破綻危機」に対して、多くの国民が危機意識を持ち始めた状況、すなわち、「国民の覚醒」が始まった段階のようにも感じられるのである。