本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2024.10.21

タダほど高いモノはない

今回の「日本の衆議院選挙」については、「政治家のばらまき予算」と「無償化を喜ぶ日本人」の存在が目立った状況のようにも感じられるが、このような状況下で思い出されたのが、「タダほど高いモノはない」という言葉だった。つまり、「目先の違いにとらわれて、結局は同じ結果であることを理解しないこと」を意味する「朝三暮四」という言葉のとおりに、「現在のタダ」は「将来の高いモノ」に変化するものと思われるからである。

そして、この点を、「戦後80年間の税金」で考えると、現在は、今までの「三種類の税金」に加えて、「四種類目の最後の税金が加わる段階」に差し掛かってきたものと感じられるのである。具体的に申し上げると、「1945年から65年までの約20年間」については、「戦後の経済復興期」であり、「所得税などの目に見える現在の税金」が課されていた状況でもあったが、その後は、「二種類目の目に見える将来の税金が、国債の形で課され始めた状況」だったことも理解できるのである。

また、その後は、「経済の金融化」という「実体経済よりもマネーの残高が上回る状態」が始まり、その結果が、「1980年代の日本バブル」だったが、「1990年代」は、一転して、「バブル処理に追われた期間」だったことも見て取れるのである。別の言葉では、「日本の民間金融機関が、破綻寸前の状態の追い込まれた事態」のことでもあるが、この危機を救ったのが、「欧米の金融機関を中心にして作り出されたデリバティブのバブル」とも言えるのである。

より具体的には、「世界的な金融システムの崩壊」を救うために、「日本バブルの約30倍の規模で、新たなバブルが形成された状況」でもあったが、「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」が意味することは、「デリバティブのバブル」が崩壊するとともに、「三種類目の税金である目に見えないインフレ税が、国民の気付かない形で課され始めた状況」だったことも見て取れるのである。

つまり、「中央銀行のバランスシートが、国民からの借り入れにより膨張した状況」のことだが、このことは、「将来的に、国民が返済せざるを得ない性格の借金」とも理解できるのである。そして、現在は、今までの「三種類の税金徴収」に限界点が到来するとともに、「四種類目の目に見えないインフレ税が、国民の気付く形で徴収される段階」に入ったものと思われるが、実際には、「中央銀行が通貨発行益を得るとともに、ハイパーインフレで、実物資産の価格が急激な上昇を見せ始める事態」だと考えている。