
本間宗究(本間裕)のコラム
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2024.10.16
グローバル共同体とデジタル通貨
「帝国」および「貨幣」の歴史を辿ると、2010年前後にピークを付けた「グローバル共同体」と「デジタル通貨」については、「人類史上、きわめて稀なケース」だったものと思われるが、その理由としては、「共同体の規模拡大に伴って大膨張したマネー残高」、そして、「情報通信量の劇的な拡大」が指摘できるものと感じている。つまり、「最小限の共同体」とも言える「家族」の場合には、「コミュニケーションの手段」として「会話」が使用されるとともに、「それぞれの思い」を感じることも可能な状況ともいえるのである。
しかし、現在のような「グローバル共同体」、すなわち、「世界各国が、コンピューターネットワークで繋がれるとともに、大量のデジタル通貨が情報となって流れている社会」においては、「0と1の間に存在する無限の情報」が切り捨てられるとともに、「必要な情報だけが、瞬時に伝達される仕組み」が求められているものと思われるのである。別の言葉では、「社会の力」が強くなるとともに「個人の力」が弱くなり、その結果として、「個人の社会への隷従化」が進展した状況のことである。
より詳しく申し上げると、「メガバンクや国家が多額の通貨発行益を手にするとともに、一般大衆には四種類の税金が課される状況」のことでもあるが、この結果として生み出された変化としては、「貧富の格差拡大」が指摘できるものと思われるのである。つまり、「中間層が数多く存在する円の形」ではなく、「少数の富める者と多数の貧しい者が存在する瓢箪の形」に移行する事態のことだが、このような状況下では、当然のことながら、「一般大衆の不満が高まる状態」も想定されるのである。
このように、現在は、「村山節(みさお)の文明法則史学」が指摘するとおりに、「1600年前に崩壊した西ローマ帝国」以降、「数多くの小さな共同体」に分裂した世界が、その後、長い時間をかけて、現在の「グローバル共同体」へ統合した状況とも理解できるが、この時に必要とされたものとしては、前述の「世界的なコンピューターネットワーク」と「人類史上初めてのデジタル通貨」が挙げられるものと考えられるのである。
つまり、「本来のマネー」であり「氷のような状態」だった「金(ゴールド)」が、その後、「水のような状態の紙幣」と「水蒸気のような状態のデジタル通貨」を産み出した展開のことだが、これから想定される変化としては、「今までの逆回転」ともいえる「水蒸気のような状態のデジタル通貨」が冷やされるとともに、「水のような状態の紙幣」が地上に大量に降り注がれ、「氷のような状態の金の価格暴騰」だと考えている。