本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.10.29

米国大統領選挙の影響力

米国大統領選挙が近づいた現在、いろいろな識者が、「選挙の結果が、どのような影響を与えるのか?」についてコメントしているが、私自身としては、「トランプ氏とハリス氏のどちらが大統領に選出されようとも、大した違いが存在しないのではないか?」と感じている。別の言葉では、現在の「大統領の影響力」に関して理解できることが、以前とは違い、きわめて小さな状態になった可能性のことでもあるが、この理由としては、「米国債務残高の急激な上昇」が挙げられるものと考えている。

具体的には、「約35.8兆ドル」にまで達した「米国の債務残高」については、今まで、「約3か月でⅠ兆ドルの増加」というペースだったものが、「10月」においては、「約3週間で0.5兆ドルの増加」というように、急激な増加ペースの加速が見られる状況とも言えるのである。しかも、今まで棚上げされてきた「債務残高の上限問題」については、「2025年の1月に、再度、引き上げられる必要性が存在する」という状況のために、今後は、より一層、「米国の金利上昇」が危惧されるものと想定されるのである。

より詳しく申し上げると、「世界的な金融システムの実情」としては、「西洋の先進諸国が、デリバティブ大膨張の恩恵を受けて、今まで、超低金利状態を享受できた状況」だったものの、その他の国々は、「40年前から始まっていた国家財政の連鎖破綻」というコラムで指摘したように、「体力の弱い国々から、徐々に、国家財政の破綻が始まった状況」だったことも理解できるのである。

そのために、今後の「米国を始めとした西洋先進諸国の財政問題」については、「今までと同様の方法では、決して、破綻を免れない状況ではないか?」とも感じているが、この点について、現時点で、特に注目すべき事実は、「ポール・チューダー・ジョーンズ氏などの著名投資家が、国債の売りと実物資産の買いを推奨し始めた状況」だと感じている。つまり、今後は、「国債の買い手」が急減するとともに、「大量の資金が、貴金属などの実物資産に殺到する可能性」が認識され始めているのである。

そして、今後の展開については、「1991年のソ連」が参考になるものと考えているが、実際には、「長期国債の買い手」が減少し、「長期金利の上昇」が始まった後に、「短期国債の買い手」が減少し、「短期金利の上昇」が始まった状況のことでもあるが、現在の「西洋の先進諸国」は、「長期国債の買い手」が減少するとともに、「長期金利の上昇が始まった段階」とも言えるのである。