本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.10.23

全ての道はインフレに通ず

米国の著名投資家である「ポール・チューダー・ジョーンズ氏」は、先日、CNBCに出演し、驚くべき内容の意見を表明したが、それは、「全ての道はインフレに通ず」というものであり、また、「この時の注目ポイントとしては、『ミンスキー・モーメント』が挙げられる」とも述べている。つまり、「ミンスキー・モーメント(ミンスキーの瞬間)」とは、「信用循環または景気循環において、投資家が投機によって生じた債務スパイラルによりキャッシュフロー問題を抱えるポイントである」と説明されているが、私自身としては、「中央銀行の資金繰りに問題が発生した瞬間」のようにも考えている。

より詳しく申し上げると、私が今まで述べてきたように、「1971年のニクソンショックから始まった『信用本位制』と呼ぶべき通貨制度」、あるいは、「1913年に創設された米国のFRB」については、現在、「崩壊の危機」を迎えているものと想定されるのである。別の言葉では、「1991年のソ連」と同様の状況が、世界的に発生している可能性のことでもあるが、実際には、「米国を中心にして、国家債務の膨張が急激に進展するとともに、買い手の消滅により、国債価格の暴落が発生する危機」のことである。

このように、「一国だけの国家破綻、そして、ハイパーインフレ」というのは、「過去100年間に30か国以上で発生した状況」だったものの、実際の状況としては、「三種類の金本位制」と「1971年からの信用本位制」により、「世界的なマネーの残高が、時間の経過とともに大膨張した展開」だったことも理解できるのである。別の言葉では、「1600年ほど前に崩壊した西ローマ帝国」が、唯一の参考例になるほどの、きわめて異常な「マネーの大膨張」を、過去100年間に、世界の人類が経験したわけだが、現在では、「すべての人々が、そのツケを払わされる瞬間」に差し掛かったものと想定されるのである。

ただし、この点については、「村山節(みさお)の文明法則史学」や「シュペングラーの西洋の没落」、あるいは、「ライプニッツの予定調和説」などで、ある程度、予想されていた変化であるとともに、我々が理解できない「深い意味」が隠されている可能性も考えられるようである。別の言葉では、「800年に一度の東西文明の大転換期には、驚くべき大事件が発生する可能性」が想定されるものの、結局のところ、「絶えざる進化と創造の過程にある人類社会」にとっては、「これから想定される世界的な金融混乱も、進化のために必要不可欠な出来事」のようにも感じられるのである。ただし、これからの金融大混乱を生き延びるために、最も気を付けるべきポイントは、やはり、「前代未聞の規模での世界的なハイパーインフレが発生する可能性」とも言えるようである。