本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.10.30

アベノミクスの後始末

10月7日に実施された「日本の衆議院選挙」における「与党自民党の大敗」については、「アベノミクスの後始末」が始まったことを象徴する出来事だったようにも感じているが、その理由としては、「アベノミクスの正体」が、単に、「日銀のバランスシートを大膨張させて、国債を買い付けるだけの状況」だったものと思われるからである。別の言葉では、「民間資金を借りて、将来の税金である国債の買い付けること」は、結果として、「目に見えないインフレ税を払うこと」だったものと考えられるのである。

その結果として、国民の生活が苦しくなるとともに、政府に対する不満が高まっていたために、今回の選挙で、「政治家による裏金問題」に対して、一挙に、不満が高まったものと想定されるのである。別の言葉では、「円安」と「金利上昇」という「日本国家の体力低下」を象徴する出来事が発生したために、多くの国民が「アベノミクスの正体」に気付くとともに、自己防衛を始めた可能性も考えられるのである。

そのために、これから予想される展開としては、「さらなる円安と金利上昇」により、「日銀による財政ファイナンスが実施される可能性」でもあるが、この点については、「日本の国家債務がGDPの250%越え」という実情に対して、現在、海外投資家が。「鵜の目鷹の目」で見守っている状態とも言えるのである。つまり、今回も、「日銀発の新たな金融政策」、すなわち、「CBDC(中央銀行デジタル通貨)の大量発行」や「大量の紙幣増刷」が実施される可能性が注目されているのである。

より詳しく申し上げると、「日銀のバランスシート」を吟味すると、「誰でも理解できるほどの危機的な状態」となっており、実際には、「約547兆円の当座預金」と「約587兆円の保有国債残高」などに関して、「今後の金利上昇が致命的な影響を与える可能性」が危惧されているのである。つまり、「日本国家の財政破綻」が危惧される状況となっており、そのために、多くの著名投資家が、「泥船から脱出するように、先進各国の国債保有残高を減らし始めた状況」となっているものと想定されるのである。

このように、今後は、単なる「リフレーション政策」にすぎなかった「アベノミクスと呼ばれた金融政策」に対して、きわめて大きな反動が発生するとともに、「日本人全体が、その後始末に追われる状況」も想定されるのである。具体的には、「約25年間にも及んだゼロ金利政策により、さまざまな矛盾が産み出された状況」に対して、きわめて短期間のうちに、大きな金融混乱が発生する可能性である。