本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.11.6

英国の増税と日本の減税

現在は、「リフレーション政策」から「ハイパーインフレ」への転換期であり、「何らかの出来事をキッカケにして、未曽有の世界的な金融大混乱が発生する可能性」を危惧しているが、この点に関して、「英国の増税」と「日本の現在」が、何らかの影響力を及ぼすものと感じている。別の言葉では、「四種類の税金」、すなわち、最初が「所得税など、目に見える現在の税金」、二番目が「国債の発行がもたらす、目に見える将来の税金」、そして、三番目が「中央銀行が民間から資金を借り入れ、国債の買い付けを実施する、国民が気付かない形のインフレ税」であり、最後が、「財政ファイナンスによる国家債務の充足という、国民が気付く形のインフレ税」に対して悪影響をもたらす可能性である。

より詳しく申し上げると、「日本の財政」は、「1945年の敗戦」以降、約20年間は、最初の「現在の税金」だけで賄ってきたものの、「1965年からは、二番目の将来の税金が追加徴収される状況」となったことも理解できるのである。そして、「1990年の日本バブル崩壊」以降は、「不良債権が民間金融機関に移行するとともに、中央銀行が三番目のリフレーション政策を実施し始めた状況」だったことも見て取れるのである。

また、このような「国家の財政危機」については、「アメリカを始めとした先進諸国」も同様の状況であり、その結果として発生した変化としては、「1980年代初頭に誕生したデリバティブが、2000年前後から急速な大膨張を見せた事実」だったことも理解できるのである。別の言葉では、「民間金融機関が、オフバランスシートで資産と負債を大膨張させたことにより、大量のデジタル通貨が作り出された状況」のことでもあるが、この結果として発生した現象は、「世界の金融市場が、さらなる大膨張を見せるとともに、西洋先進諸国の財政問題に時間的な余裕が生まれた状況」ともいえるのである。

つまり、「ポンジ・スキーム」のように、「さらなる資金投下により時間稼ぎが行われた状況」のことだが、一方では、「大膨張した不良債権が、将来的に、より大きな金融混乱を引き起こす可能性」も危惧されたのである。具体的には、「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」以降に発生した「金融のメルトダウン」であり、このことは、「大量のデジタル通貨が、徐々に、何でもバブルの発生と崩壊を繰り返した状況」とも言えるのである。しかも、現在では、「米国を中心とした株式から。貴金属などへの実物資産へと、世界の資金が移行し始めた状況」であり、このような状況下で実施される、「英国の増税」と「日本の減税」は、結果として、「税収減」や「国債の買い手減少」に繋がり、「1991年のソ連」のような危機を引き起こす可能性を危惧する次第である。