
本間宗究(本間裕)のコラム
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2024.11.11
トランプ元大統領の再選
2024年の米国大統領選挙は、「トランプ元大統領の再選」という結果に終わったが、「これから、どのような変化が訪れるのか?」を考えると、たいへん厳しい情勢も想定されるようである。つまり、「MAGA(アメリカを再び偉大な国へ)」や「アメリカ第一主義」などのスローガンについては、「米国の実体経済を強くしようとする思惑」が、根柢に存在するものと思われるが、結果としては、「景気の悪化が税収減をもたらし、国家の財政悪化に拍車をかける恐れ」も想定されるのである。
別の言葉では、「1990年代にふたごの赤字に悩まされていた米国が、なぜ、2000年前後から急激な復活を見せたのか?」については、以前から指摘するとおりに、「600兆ドルを超える巨額なデリバティブのバブル」が指摘できるものと考えられるからである。そして、この原因となったのが「1980年代から始まった中国の資本主義化」や「1991年のソ連崩壊とその後の資本主義的な経済運営」であり、結果としては、かつての「東西冷戦」が終了し、「グローバル共同体の完成」につながったものと思われるのである。
より具体的に申し上げると、「共同体の規模拡大に伴い、マネーの残高が増える」という「私自身の仮説」からは、「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」が「グローバル共同体及びマネー残高が史上最高を付けた時期」だったものと考えられるのである。つまり、グローバル共同体が造り出した「巨大な信用」が、「デリバティブという金融商品」と「デジタル通貨という史上初めてのマネー」に変化し、「世界全体に、巨大な流動性を供給した状況」のことである。
しかし、その後の展開としては、「東西冷戦の再燃」や「中央銀行のリフレーション政策」などにより、「ほとんどの資金が、国家の財政赤字に吸収された状態」となったことも見て取れるのである。しかも、現在では、「10月22日に発表されたIMFの警告」のとおりに、「信用リスクの外部移転手段として金融機関が用いるシグニフィカント・リスク・トランスファー(SRT)取引により、対象資産の質を巡る不安が高まり、不透明な取引で金融安定のリスクが増大しかねない状況」が始まったことも理解できるのである。
つまり、これから予想される展開は、「世界的な流動性の枯渇」であり、実際には、「無い袖は振れぬ」や「金の切れ目が縁の切れ目」などの諺のとおりに、「資金的な裏付けが存在しないトランプ大統領の政策」に対して、「景気の悪化」と「国民の不満が高まる状況」が襲う可能性である。