本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.12.3

世界的な政治的及び社会的大混乱

現在は、「ウクライナ」や「中東」などの紛争に加えて、「欧米諸国における政治的な混乱」が加わった状況、すなわち、「世界的な金融システム不安に、社会的大混乱が加わった状態」のようにも感じている。その結果として、多くの人々が、「今後、どのような展開が想定されるのか?」を考え始めたものと思われるが、この点に関して参考になるのは、やはり、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊時」だけのようにも感じている。

別の言葉では、「800年ごとに東西文明が交代する事実を発見した村山節(みさお)の文明法則史学でしか、現状説明ができない状況」のようにも感じているが、この点に関して注目すべき事実は、「民族大移動の後半戦が始まった可能性」である。つまり、「西暦376年頃から始まったといわれるゲルマン民族の大移動」については、「前半の50年」と「後半の50年」とに分かれるとともに、「100年後の西暦476年」に「西ローマ帝国の滅亡」という事実が待っていたことも見て取れるのである。

より詳しく申し上げると、「民族大移動の前半部分」については、「1600年後の現在」と同様に、「多くの人々が大都市に移住し、パンとサーカスの生活を送った状況」だったものの、その後は、「大都市の生活が難しくなり、地方や海外への大移動が始まった展開」だったことも理解できるのである。つまり、「大都市における増税やインフレ」などにより、多くの人々が生活苦に陥ったわけだが、現在の世界的な情勢を見ると、「まさに、同様の展開が繰り広げられているのではないか?」とも思われるのである。

そして、このような現象が発生する原因としては、主に、「マネーの大膨張と収縮」、すなわち、「マネーである金(ゴールド)を利用したクレジット(信用)」の存在が指摘できるものと考えている。より具体的には、「1971年のニクソンショック以降、デリバティブやデジタル通貨が大膨張した状況」のことでもあるが、実際には、「世界的なコンピューターネットワークが駆使され、未曽有の金額のデジタル通貨が、世界中の人々の生活を激変させた状況」のことである。

しかし、現在では、1600年前と同様、あるいは、それ以上のスピードで、「大都市での生活苦」が進展している状況とも思われるために、今後の注意点としては、「資金繰りに窮した世界各国の中央銀行が、一斉に、紙幣の大増刷を実施し始める可能性」であり、また、「紙幣がコンピューターネットワークの中を流れることができない事実」が挙げられるものと考えている。