
本間宗究(本間裕)のコラム
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2024.11.25
干支から見る2025年
2025年は「乙巳(きのと み)」という暦になるが、「乙」については、「十干の二番目」に相当し、「甲で出た芽がひょろひょろと伸びる様子」を表しており、また、「巳」については、「十二支の六番目」に相当し、「今まで地中に潜っていたものが表面上に顔を出す状況」を意味している。そして、二つを合わせて考えると、「2024年から始まった変化が、さらなる激化につながるとともに、今まで気づかなかった要因が、突如として表面化する展開」も想定されるようである。
より詳しく申し上げると、昨年から危惧され始めた「世界的な国家債務危機」に関して、何らかの「新たな事件」が発生するものと思われるが、この点については、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制と呼ぶべき通貨制度」、すなわち、「通貨の裏付けとなるものが、単なる信用にすぎない状況」を正確に理解する必要性があるものと考えている。つまり、現在の問題点としては、前述のとおりに「世界的な債務残高」が指摘できるが、同時に、その裏側に存在する「デリバティブ」が、人類史上、未曽有の金額に達しており、しかも、人類が、50年ほど前まで経験しなかった「デジタル通貨」が、現在、世界のコンピューターネットワークを縦横無尽に駆け巡っている状況ともいえるのである。
ところが、昨年から始まった「世界的な金融危機」の原因としては、「デジタル通貨の枯渇」が想定されるが、実際には、「究極のクラウディングアウト」ともいえる「国家が民間の資金を吸収し尽くした可能性」が指摘できるものと思われるのである。つまり、今までは、「所得税や商品税」などの「目に見える現在の税金」や「目に見える将来の税金」である「国債の発行」などに加えて、「目に見えないインフレ税」が、「中央銀行のバランスシート大膨張により、国民の気付かない形で課された状況」だったことも理解できるのである。
しかし、今後は、「四番目の税金」である「目に見えないインフレ税が、国民の気付く形で課される段階」に入り、実際には、「世界各国の中央銀行が、大量の紙幣増刷を実施し始める展開」も想定されるのである。つまり、今までは、「先進各国の中央銀行が、ありとあらゆる手段を行使して、国家の資金繰りを賄ってきた状態」だったが、現在では、「財政ファイナンス」という手段しか残されていない状況とも考えられるのである。
そのために、これから想定される事態としては、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊時」と同様の「世界的な大インフレ」であり、実際には、「大量の資金が、一挙に、小さな実物資産の市場に流れる展開」だと考えている。