本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2024.12.4

韓国の戒厳令

12月3日に発令されたものの、その数時間後に解除された「韓国の戒厳令」については、「米国の政治混乱」などと同様に、「国家の分断状態」を表すとともに、根本的な原因としては、「通貨の堕落がもたらす経済的な破壊力」が挙げられるものと考えている。つまり、「レーニンは確かに正しかった。通貨を堕落させることほど、社会の既存の基盤を覆す巧妙で確実な手段はない。このプロセスは、経済法則の隠れた力をすべて破壊の側に働かせ、百万人に一人も気づかないような方法でそれを行う」というケインズの言葉のとおりに、現在は、「既存の社会基盤が根本から崩れ始めている状況」のようにも思われるのである。

より詳しく申し上げると、「1600年前の西ローマ帝国崩壊」の時と同様に、現在は、「共同体の大分裂」が発生している状況とも想定されるが、実際には、「2010年前後にピークを付けたグローバル共同体」から、最初に、「中国やロシア」などが脱退し、現在は、「国家の内部で分裂や分断が発生している状況」とも考えられるのである。別の言葉では、「グローバル共同体」で実現された「世界全体が、一つの巨大な輪となったような状態」から、徐々に、参加者が抜け落ちるとともに、抜け落ちた参加者の内部でも分裂が始まっている展開のことである。

そして、この点をより深く理解するためには、私自身の仮説である「共同体の規模に比例して、マネーの残高が決定される」という分析が役立つものと思われるが、実際には、「西暦400年前後の西ローマ帝国」から「2010年前後のグローバル共同体」まで、「約1600年間にわたり、共同体の結合が繰り返されるとともに、マネーの残高が膨張を続けてきた状況」だったものと考えられるのである。

しかし、「2010年前後から発生している現象」は、「信用消滅に伴う既存の社会基盤の崩壊」であり、実際には、「金の切れ目が縁の切れ目」という諺のとおりに、「グローバル共同体の分裂が、きわめて短期間のうちに発生している状態」とも想定されるのである。そして、今後の展開としても、すでに始まっている「世界的な物価上昇」が示すとおりに、「ほとんどの人が気付かないうちに、世界的なハイパーインフレで、通貨価値の激減が発生する事態」も想定されるのである。

より具体的には、「信用は築き上げるのに長い時間が必要とされるが、崩壊が一瞬である」という言葉のとおりに、誰もが想像しなかったほどの短時間で、世界のマネーが雲散霧消する可能性のことである。