
本間宗究(本間裕)のコラム
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2025.1.8
景気と金利
「景気が良いから金利が上昇している」、あるいは、反対に、「景気が悪いから金利が低下している」というような意見については、いまだに、多くの人々が信じている状況とも思われるが、現在、この点に関して問題となっているのは、「欧米諸国の利下げに際して、長期金利が上昇している事態」である。つまり、「景気が悪いから利下げをしているのに、なぜ、長期金利が上昇しているのか?」という疑問が噴出している状況のことだが、この点については、「現在だけを切り取って分析する三次元の経済学」ではなく、「歴史の全体像から現在を分析する四次元の経済学」が必要な状況のようにも感じている。
別の言葉では、「現在、世界のどの国に、また、どのような業種に世界の資金が流れ、好調な業績を享受しているのか?」を考えることでもあるが、この点に関する注意点としては、「絶好調といわれる米国」においても、「米国債が暴落し、また、商業用不動産に続き、住宅用不動産価格も暴落している展開」とも言えるのである。つまり、「株価だけが好調な状況」となっているわけだが、このことは、「2008年のGFC(世界的な金融大混乱)」で発生した「金融の大津波」が、時間をかけて、「債券」から「不動産」、そして、「株式」に対して、「何でもバブルを発生させた展開」だったものと考えられるのである。
より詳しく申し上げると、「1600年前に発生した西ローマ帝国の崩壊」以降、「どのような商品が誕生し、また、その時に、どのようなマネーが利用されたのか?」を考えると、実際には、「西暦400年代から1900年代までの約1500年間は、金や銀がマネーとして使われ、経済は、ほとんど成長しなかった状況」だったことも見て取れるのである。つまり、過去100年間とは違い「マネーの残高」に関して、ほとんど変動が見られなかったが、現時点では、「コンピューターネットワークの中に存在する単なる数字が、最も大切なマネーである」ということが「世界的な常識」となったことも理解できるのである。
そのために、現在の「景気と金利」に関しては、「過去100年間に、どのようなマネーが、どのようにして創られ、その後、国家への税金として回収されたのか?」、あるいは、「世界のマネーが、現在、どのような資産価格を上昇させているのか?」を理解することが必要な状況とも思われるのである。つまり、「株価の暴落後に、実物資産へ、大量の資金が流れ始める可能性」を考えることでもあるが、この点については、参考例となるのが、「過去100年間のインフレやデフレ」、および、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊時」とも思われるために、現時点では、決して、古典的な経済理論に惑わされることなく、自分の資産保全を図ることに全力を注いていただきたいと考えている次第である。