
本間宗究(本間裕)のコラム
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2025.1.6
習近平の新年賀詞
「失脚」が噂される「習近平」の新年賀詞には、大きな変化が表れたといわれているが、具体的には、「中華民族の偉大なる復興」というコメントが削除された事実であり、このことは、以前に申し上げた「マルクス主義的中華思想」の半分が消滅した状況とも言えるようである。つまり、彼が望んでいたことは、「史的唯物論」が示す「資本主義の次には共産主義の時代が訪れる」という信念のもとに、「中華思想の実現」、すなわち、「中国が世界の中心であり、その文化・思想がもっとも価値あるものであるという社会が実現されること」だったようにも思われるのである。
しかし、実際には、「相手国を無視した戦狼外交」や「あまりにも無謀な経済政策」などにより、「人類史上、稀に見るほどの急速な経済的没落」を経験したことも理解できるのである。また、その結果として発生した現象は、「国民の不満」と「共産党の内部分裂」であり、実際の展開としては、「習近平の権力はく奪」が着々と実施されている状況だったことも見て取れるのである。
別の言葉では、「1990年の日本」と同様の「不動産バブルの崩壊」に続き、「1991年のソ連」と同様の「国家の分裂」が始まった状況のようにも感じているが、この点に関する注目ポイントは「中国共産党が崩壊する可能性」とも言えるようである。具体的には、「史的唯物論の誤り」、すなわち、「コミュニズムが意味することは共産主義ではなく共同体主義である」という事実が理解されることであある。
より詳しく申し上げると、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊時」と同様に、今回も、「巨大な共同体」の崩壊が始まっているものと考えられるが、このことが意味することは、「共同体の規模拡大に伴って大膨張した世界のマネー」が消滅を始めている事態とも言えるのである。つまり、「西暦376年のゲルマン民族大移動」から「西暦476年の西ローマ帝国の崩壊」までの「約100年間」に発生した「大都市の形成と消滅」が、今回も繰り返されている可能性のことである。
そのために、今後の注意点としては、「共産主義」のみならず、「資本主義」までもが崩壊する可能性でもあるが、実際には、「村山節(みさお)の文明法則史学」が教えるとおりに、「西暦1200年から2000年前後まで継続した西洋の物質文明」が崩壊し、今後は、「東洋の精神文明」が始まる可能性であり、この時に参考になるのは、「西暦400年から1200年までの東洋文明」とも言えるようである。