本間宗究(本間裕)のコラム

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2025.2.10

裸の王様となったトランプ大統領

現在のトランプ大統領は、「多くの家来(イエスマン)を従えて行進している裸の王様」のような状態とも思われるが、実際には、「米国の武力や資金力を恐れる人々が、独裁者となったトランプ大統領の言いなりになっている状態」のようにも感じられるのである。別の言葉では、「影も形も存在しない現代のデジタル通貨」を全面的に信用する人々が、「トランプ大統領の機嫌取り」を行っている状況とも思われるが、今後の注目点は、「いつ、無垢な子供が、『王様は裸だ』と言い放つのか?」だと考えている。

より具体的には、「1971年のニクソンショックから始まった『政府の信用を本位とした通貨制度』が、いつ、崩壊の時期を迎えるのか?」ということでもあるが、この点に関して、最も注目すべきポイントの一つが、「BOE(バンクオブイングランド)が保有する5000トンの金(ゴールド)」のようにも感じている。つまり、現在では、「イギリスからアメリカへ金塊の大量移動が始まっている状況」となっており、この理由の一つとしては、「BOEの金庫に保有されていた金(ゴールド)が枯渇している可能性」も指摘され始めているのである。

より詳しく申し上げると、数十年前から指摘されていたこととして、「中央銀行の保有する金(ゴールド)が、売却されたり、あるいは、貸し出されたりしていた可能性」が挙げられるのである。つまり、「金利を産まない金(ゴールド)については、売却して債券に替えるべきだ」というような意見が出たことにより、「西洋の中央銀行が、保有している金(ゴールド)の売却や貸し出しを実施した可能性」のことである。

しかし、一方で、「西洋諸国の金融システム」に不安を抱く勢力は、「中国やロシアなどを中心として、大量の金(ゴールド)を購入した」という状況となっており、その結果として発生した現象が、「世界的な金(ゴールド)の奪い合い」とも理解できるのである。しかも、現在では、西洋諸国においても、「現物の金(ゴールド)に対する需要」が急増し始めるとともに、「デリバリー(現物の受け渡し)」に関して遅延が発生し始めた状況となっていることも見て取れるのである。

そして、このことは、「米国を始めとした西洋諸国の資金力」に関して、「根源的な力」が枯渇し始めた状況を意味するとともに、「1990年代のアメリカ」と同様に、「双子の赤字で、海外からの商品購入が難しくなる事態が再現される可能性が出てきた状況」のようにも思われるのである。