
本間宗究(本間裕)のコラム
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2025.2.16
行き詰まりを見せ始めたリフレーション政策
1980年代初頭に始まった「中南米諸国の金融危機、あるいは、国家財政の連鎖破綻」は、その後、「1990年代の東欧」や「2000年代のアフリカ諸国」などへと引き継がれていき、現在では、「西洋諸国の国家財政問題」にまで行きついたものと考えている。つまり、「1980年代初頭からの約40年間」については、「低下し続けた先進諸国の長期金利」からも判断できるように、「デリバティブの残高膨張に伴い、西洋の先進諸国が超低金利状態の恩恵を受けながら、さまざまなバブルを発生させた状況」だったものと考えられるのである。
別の言葉では、大量に創られた「デジタル通貨」の恩恵により、「西洋の先進諸国が、人類史上、未曽有の規模での経済的な繁栄を享受した状況」だったものと理解できるが、この結果として発生した事態は、100年ほど前にシュペングラーが指摘した「大都市の知性と貨幣」だったことも見て取れるのである。つまり、「1600年前の西ローマ帝国」と同様の「パンとサーカスの生活」であり、また、「座業を好み、農村から離れる展開」などのことだが、この結果として予想される事態も、当時と同様に、「財政破綻がもたらす大インフレ」とも想定されるのである。
そして、このメカニズムとしては、「中央銀行の創設」によりもたらされた「通貨の堕落」などが挙げられるようだが、実際には、「民間金融機関」のみならず、「中央銀行」のバランスシートまでもが大膨張した展開とも理解できるのである。別の言葉では、「国家の財政赤字」を補うために、「民間部門の資金が国家に吸い上げられた状況」のことでもあるが、この点に関して特筆すべき事態は、やはり、「2008年のGFC(世界的な金融大混乱)以降のリフレーション政策」のようにも感じている。
つまり、「中央銀行が民間部門から資金を吸い上げて、国債などに投資した状況」のことでもあるが、この行為については、結局のところ、財政破綻を遅らせるための、単なる時間稼ぎにすぎなかったものと考えられるのである。
そして、現時点では、最後の手段とも言える「紙幣の大増刷」に頼らざるを得なくなった状況とも考えられるが、この点については、「1980年代から始まった国家財政の連鎖破綻」、あるいは、「1971年から始まった政府の信用を本位とした通貨制度の終焉」を告げる状況とも思われるが、今後の展開としては、「リフレーション政策」の後に想定される「ハイパーインフレの発生」も考えられるようである。