本間宗究(本間裕)のコラム

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2015.5.15

現代人の価値観

歴史を研究すると、時代によって、人々の「価値観」が、大きく変化していることが理解できる。そして、この変化にも、一定の法則が存在しているものと考えているが、基本的には、「心の座標軸」と「文明法則史学」を合わせて分析することにより、「人々が、どの時代に、どのようなものを大切に考えるのか?」が推測できるようである。つまり、「大切」という言葉のとおりに、自分の「お金」や「時間」に関して、「何を切り捨て、何を選択するのか?」ということだが、現代人は、明らかに、「お金」と「自分」とを選択しているようである。

別の言葉では、「目に見えるもの」の象徴とも言える「お金」であり、また、「他人に対する思いやり」よりも「自分の生活」のことだが、この結果として生み出されたのが、現在の文明社会とも言えるのである。つまり、人々の「価値観」の結晶として、現在の都市文明が形成されたものと考えているが、一方で、「平家物語」のとおりに、「諸行無常の鐘」が鳴り響いているようにも思われるのである。

具体的には、現代人が、最も大切に考えている「お金」に関して、前代未聞の規模で、大転換が起き始めているものと思われるが、実際に、「ドイツ」を始めとして、急速に金利が上昇しているのである。別の言葉では、今回の「マイナス金利」については、「文明法則史学」による分析でしか、説明が付かないものと考えているが、このことは、前述のとおりに、「現代人が、お金に対して、最も強い関心を抱いていた状況」を表しているようにも感じられるのである。

しかし、「限界点に達した時に、バブルの発生と崩壊が起き、世の中が、大転換期を迎える」ということも、「歴史の教訓」の一つでもあるようだ。つまり、今回の「マイナス金利」については、「800年」、あるいは、「1600年」に一度とも言えるほどの異常事態だったものと考えているが、この点については、間もなく、金利の急騰が起きた時に、結果が出るものと考えている。

そして、かりに、私の予想が正しいとすると、今後は、大きな「価値観の転換」が起きることになるようだが、実際には、「幕末や戦後の日本人」と同様に、「今まで信じていたものが、実は、全くの虚構だった」という虚無感の発生とも言えるようである。つまり、現在の「お金」は、実際のところ、「絵に描いた餅」にすぎず、「使おうと思った時に、ほとんど、価値が無くなった状況」が発生するものと考えている。