本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2015.5.15

金利上昇のリスク

「金利」は「お金の値段」であり、基本的には、「お金」に対する「需要」と「供給」とで決定されるものと考えている。しかし、現在では、この点に関する分析が、ほとんどなされておらず、結果として、きわめて曖昧な「意見」や「考え方」しか存在しないようである。つまり、「人類史上、お金の謎が解けていない」という事実と同様に、「金融商品」に関する理解も、たいへん未熟な段階とも言えるのである。

具体的には、「マルクスの資本論」で、「商品」と「通貨」の関係性が、経済学の「大きなテーマ」となって以降、ほとんど、理論的な発展が見られなかったようにも思われるのである。また、特に大きな問題として、「1980年代」以降に発展した、いろいろな「金融商品」が挙げられるが、この点については、私自身も、「いろいろな経済の専門家」と、数多くの議論をした。そして、この時の論点の一つが、「金融商品は、本当に、商品なのか?」という疑問点だったが、結局のところ、私自身としては、「金融商品は、通貨と商品との両方の性格を持ち合わせている」という結論に落ち着いたのだった。

つまり、今回の「マネーの大膨張」は、やはり、前代未聞の規模で「金融商品」が生み出され、その資金が、世界的な「金利低下」を招いたものと考えている。具体的には、「米国の10年国債金利」が、「1981年」の「約16%」から、「2012年」の「約1.66%」にまで、「30年以上も、継続して低下した」という状況だったのである。別の言葉では、この間、継続して、「お金の供給」が行われ、結果として、現在の「超低金利状態」が可能になったものと考えられるが、この「極み」とでも呼ぶべき状況が、今回の「ヨーロッパのマイナス金利」だったようである。

つまり、「ドイツ」や「スイス」などで、「長期国債が、マイナス金利の状態にまで、価格が急騰した」という状況のことだが、現在では、ご存じのとおりに、「4月20日」前後を境にして、一挙に、「金利上昇」が始まった。別の言葉では、「30年以上も続いてきた、世界的な金利低下」に歯止めがかかり、反対に、「巻き戻し」が始まったものと思われるが、今後は、この点に関して、きわめて危機的な状況も想定されるのである。

具体的には、「日本」を始めとした「世界の先進諸国」において、「短期金利が、1%にまで上昇した時に、どのような変化が予想されるのか?」ということだが、実際には、「日銀」などの資金繰りに、大きな問題が生じることになるようだ。つまり、「210兆円にまで大膨張した当座預金」を、どのようにして処理するのかという大問題である。