本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2015.6.25

イエレンFRB議長の深謀遠慮

30年以上、「FRB議長」のコメントを読み続けてきたが、今回の「イエレンFRB議長」のコメントには、たいへん悩まされているのが実情である。つまり、当たり障りのない言葉を羅列するだけであり、結果として、ほとんど、真意が読み取れないのだが、今までに、「大学の教授」や「サンフランシスコ連邦準備銀行の総裁」などを歴任してきたことを考えると、私が想定していない「深謀遠慮」が存在する可能性もあるようだ。

つまり、前任の「バーナンキ氏」、そして、その前の「グリーンスパン氏」とは、大きな違いが存在するのだが、「グリーンスパン氏」の場合には、基本的に、「難解な言葉を用いながらも、的確に市場を説明していた」ものと考えている。そして、最後の段階では、「自分が行ったことは、バブルの崩壊を防ぐことだった」と素直に告白しながら、同時に、「デリバティブ」などの新たなバブルを形成したために、「市場への資金供給が正しかったか否かは分からない」とも述べているのである。

また、「バーナンキ氏」の場合には、「リーマンショック」の後に、専ら、「量的緩和(QE)」を実行しただけとも言えるようであり、実際には、きわめて官僚的な議長だったようにも感じている。そして、今回の「イエレンFRB議長」だが、基本的には、「グリーンスパン氏」が作った巨大な「デリバティブ・バブル」と、その後の、「バーンナンキ氏」による「量的緩和」という名の「リフレーション政策」を受けて、最後の「後始末」を考えているようにも思われるのである。

具体的には、典型的な「マネタイゼーション」とも言える「さまざまな金融商品を、紙幣の増刷により処理する方法」のことだが、この点については、今後、「国債価格の暴落」が始まった時に、世界的な動きになるものと考えている。そして、この時の注目点は、「どの国から、本格的な大混乱が始まるのか?」ということだが、現時点では、どの国も、「自国発の混乱」を避けたがっているようにも感じられるのである。

つまり、「他国から始まった金融混乱により、自分の国も、やむを得ず、紙幣の大増刷に踏み切った」というような「言い訳」、あるいは、「大義名分」とでも呼ぶべき事態を待っている可能性のことである。そして、今回の、「ギリシャの金融危機」については、この点に対する「試金石」のような状態になっているようだが、実際には、「過去数十年間」にわたり積み上がってきた「膨大な金融商品」に関して、できるだけ混乱を少なくしながら、処理をする方法が求められているようである。