本間宗究(本間裕)のコラム

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2015.7.6

ギリシャのデフォルト(債務不履行)

6月30日に、ギリシャが、実質上の「デフォルト(債務不履行)」に陥り、また、7月5日の「国民投票」においても、「ギリシャ国民は、EUからの提案を拒否する」という結果となった。そして、この事件は、これから想定される「金融大地震」の前兆のようにも思われるが、ほとんどの日本人にとっては、「対岸の火事」の状態とも言えるようである。つまり、「日本が、ギリシャのようになることは、絶対にありえない」と多寡を括っているようだが、実際のところは、「日本の方が、ギリシャよりも、酷い状態である」とも考えられるのである。

具体的には、「GDP」に対する「国家債務」の比率だが、ご存じのとおりに、「日本」の場合は、「約230%」と言われているように、「世界的、かつ、歴史的に見ても、人類が経験したことが無いほどの規模」となっているのである。しかし、この時に、説明として言われていることは、「約9割の債務は、国内投資家が保有している」ということであり、また、「日本全体としては、はるかに大きな資産が存在する」ということなどである。

つまり、「3・11の大震災」の前に、「原発の事故は、絶対にありえないことだ」という説明と、あまり違いの無い根拠で、「日本国債の安全性」が強調されているようだが、実際には、大事件が起きた後に、いろいろな解釈が出てくるものと考えている。別の言葉では、「どのようなバブルも、弾けるまでは、その存在に気付かない」という状態が、現在でも進行しているようだが、今回の「ギリシャ危機」は、前述のとおりに、本格的な金融大混乱の始まりとも言えるようである。

そして、今後は、体力の弱い国から、順番に、金融混乱が加速していくものと考えているが、これから大切なことは、「どのような資産が、金融大混乱期を生き延びることができるのか?」ということである。つまり、「日米欧」の国々が、「ギリシャ」と同様の状態になった時に、「どのような資産を保有していれば、価値の保全が図れるのか?」ということである。

また、この点を理解するためには、少なくとも、過去100年間の、「通貨制度」や「金融システム」の変遷を理解する必要性があるが、現時点でも、いまだに、この点が、ほとんど忘れ去られているようだ。その結果として、今後、日本に、金融混乱の波が訪れた時に、多くの人が、大騒ぎをするものと思われるが、実は、この点にも「深い意味」、あるいは、人智では計り知れない「天の思惑」が隠されている可能性もあるようだ。