本間宗究(本間裕)のコラム

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2015.7.16

安保法案の強行採決

7月15日に、「安保法案」が強行採決されたが、この事実は、今後の日本に、大きな影響を与えるものと考えている。具体的には、「日本人の覚醒」に関して、大きなキッカケとなる可能性であり、この点については、今後の「2カ月間」が、きわめて大切な期間でもあるようだ。つまり、「本当に、この法案が可決されるのか?」ということであり、また、「内閣支持率が、今後、どのように推移するのか?」ということである。

別の言葉では、「日本人が、本当の危機意識を抱くのか?」ということだが、今までは、戦後の「史上最大の経済成長」に酔いしれて、ほとんど、危機感が存在しなかったようだ。つまり、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という言葉により、一種の「褒め殺し」の状態となり、その結果として、「失われた20年間」に、「史上最大の堕落」を経験したものと考えている。

そのために、私自身としては、「何らかの事件」により、「史上最大の覚醒」を期待していたが、今までは、ほとんど、その兆候が見られなかったのである。つまり、「1950年代のアメリカ」のように、「バブルとその崩壊」を経験した後に、「世界の覇権国家」となった状況が、「2000年頃」から始まる可能性を期待していたのだった。しかし、実際には、「預金神話」に囚われて、「お金さえあれば、人生は安泰だ」と慢心する人々が、ほとんどの状況だったのである。

その結果として、現在では、「ジャパン・パッシング(避けられる日本)」から「ジャパン・ナッシング(何もない日本)」とまで、海外から揶揄されるような状況となっているのである。このように、現時点では、「座して死を待つ日本人」とも言える状況であり、また、「虎の子」とも言える「日本の預金」が、ハイパーインフレにより、実質的に「紙切れ」の状況となった時に、ほとんど全てを失ってしまう状況も想定されるのである。

しかし、今回の「安保法案」は、前述のとおりに、この点に対して、大きな刺激を与えた可能性があるものと考えている。具体的には、「政府は、アメリカに目を向けるだけで、国民のことを考慮していないのではないか?」と考える人が増えているようにも思われるのである。つまり、「明治維新」や「第二次世界大戦」の時のように、「大事件が起きた後に、日本人の意識が、大きく変化した」という事実のことだが、このような観点からは、これからの「2カ月間」に、「若者を含めた日本人が、どのように考え、どのように行動するのか?」が、大きな注目点でもあるようだ。