本間宗究(本間裕)のコラム

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2015.10.25

金融界のパイピング現象

今回の「鬼怒川の堤防決壊」などで起きたことが、いわゆる「パイピング現象」だったと言われているが、このことは、「堤防の決壊が、最初に、内部から始まる現象」のことだそうである。つまり、水位が高くなり、圧力が高まると、最初に、堤防の底の部分に、「水漏れ現象」が起き、この結果として、堤防の内部崩壊が起きるようである。そして、その後、水位が、更に上昇した時に、「全面的な堤防決壊」に繋がるそうだが、この話を聞いた時に感じたことは、まさに、「現在の金融界で起きていることと、ほとんど同じ展開ではないか?」ということだった。

具体的には、「マネーの大膨張」が、「川の水位」に相当し、現在では、「大きな圧力が、世界の金融システムを圧迫している状態」とも考えられるのである。そして、この時に、「量的緩和」などにより、「金融界の堤防」が、高く積み上げられていることも理解できるようだが、実際には、それ以上の資金が、世界各国の中央銀行などにより、世界の金融市場に投入され続けているのである。

別の言葉では、「通貨の堕落」とも言える「リフレーション(通貨膨張)政策」が、世界的に実施されており、このことは、「通貨の根本である信用」が、根底から失われている状況を意味しているのである。その結果として、最近では、「ギリシャの債務不履行」のように、「弱い部分から、崩壊が始まっている段階」とも考えられるが、このことが、「金融界のパイピング現象」であり、実際には、「蟻の一穴」のように、すでに、「金融界の堤防に、穴が開いている状況」とも考えられるようである。

しかも、現在では、「先進各国での内部分裂」が始まっている可能性もあるようだが、実際には、「国民と政治家との確執」であり、具体的には、今回の「安保法案」のように、「国民の意見を無視して、強行採決した状況」のことである。つまり、「本当の崩壊は、外部からの圧力よりも、内部分裂によることが多い」という「歴史の教訓」が、今回も当てはまるようにも感じているが、今後の問題は、「マネー大膨張の水位が、実際に、堤防を越えてきた段階」だと考えている。

具体的には、「金利上昇」のことだが、この時に予想されることは、「日銀」を始めとして、世界各国の中央銀行が、資金繰りに行き詰る状況であり、その結果として、世界的な「紙幣の大増刷」が始まるものと思われるが、この点については、「1991年のソ連」と、ほとんど似たような状態となっているようである。