本間宗究(本間裕)のコラム
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2015.11.5
時代錯誤の帝国主義論
現在、「南沙諸島」を巡り、「中国」と「アメリカ」との間で緊張が高まっているが、この点については、基本的に、それほど心配する必要性が無いものと考えている。つまり、「軍事力で、他国の領土を奪い取る」というような、いわゆる「帝国主義的な行為」については、「時代遅れ」、あるいは、「時代錯誤」とも思われるからである。別の言葉では、人類の歴史を尋ねると、「帝国主義」が活発に行われたのは、「1900年前後」であり、その後は、「第二次世界大戦」の後に、多くの国が植民地から独立し、民主主義国家へと変貌を遂げたのである。
そのために、現在では、どのような大国といえども、弱小国を植民地化することは、ほとんど不可能な状況とも考えられるのである。具体的には、「かつてのベトナム戦争」や、あるいは、「2003年のイラク戦争」などが、「アメリカによる帝国主義的な動き」だったようだが、実際には、「ベトナム戦争以来、アメリカは、戦争で勝利したことが無い」と言われるほどに、世界情勢は、様変わりになっているのである。
そのために、「ロシアによるクリミア進行」や、今回の「中国による南沙諸島の占拠」なども、結局は、「アメリカの二の舞」になるものと考えているが、基本的には、現在の中国が、「遅れて出て来た資本主義国」であり、そのために、いろいろな行動を取ることにより、海外の出方を試しているようにも感じられるのである。そして、より重要な点は、「世界第一位の経済大国であるアメリカ」と「世界第二位の中国」が、かりに戦争をするような事態になれば、「経済の崩壊」だけではなく、「地球全体が、核戦争により住めなくなるような状況」になることも想定されるのである。
このように、今回の「南沙諸島問題」については、「表の軍事、裏の金融」という言葉のとおりに、表面的な緊張のようにも感じているが、実際には、どの国も、「国家財政」や「国内の経済問題」に悩まされており、「戦争をする余裕」などは存在しないようにも思われるのである。つまり、本当に憂慮すべきは、世界的な「利上げ」であり、具体的には、「年内にも、「アメリカの利上げ」が実施される可能性のことである。
つまり、これほどまでに異常な「超低金利状態」に慣れきった現代人にとって、今後の「世界的な利上げ」は、大きな脅威になるものと考えている。具体的には、「若干の利上げ」で、世界の「金融システム」や「通貨制度」が完全崩壊する可能性のことだが、時間的な余裕は、ほとんどなくなったようにも感じている。