本間宗究(本間裕)のコラム

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2015.11.25

パリのテロ事件

11月13日に発生した「パリの同時多発テロ事件」については、実に厄介な問題でもあるようだが、その理由としては、今までのような「遠くの戦争」から、今回は、「近くの戦争」へと変化した可能性があるからだ。つまり、今までは、「シリア」などを空爆することが、主な戦争方法だったが、現在では、「大都市でのテロ攻撃」に対しての「備え」までもが必要となったのである。そして、このような状況下で考えなければいけないことは、「どちらが優位に立っているのか?」ということであり、実際には、「どちらの陣営の方が、守るものが多いのか?」ということでもあるようだ。

つまり、「文明法則史学」が教えることは、「800年に一度」の「東西文明の交代期」において、「巨大都市」などの完熟文明が、きわめて短期間の内に崩壊し、「民族の大移動」が発生するということである。そのために、「今回も、このような事態が繰り返されるのか?」について、真剣に考えなければいけない状況のようにも思われるが、実際には、「絶滅した恐竜」のように、「巨大化した現代文明が、今後、大混乱に陥る可能性」を考慮する必要性が出て来たようにも感じられるのである。

そして、この時に脅威となるのが、「テロ攻撃」の恐怖よりも、「内部崩壊」や「内部分裂」の危機だと思われるが、実際に、「日米欧の国々」では、さまざまな「分裂」や「崩壊」が始まっているようにも感じられるのである。具体的には、「ロシアとトルコのいがみ合い」や、あるいは、「沖縄の辺野古基地問題」のように、「国家」と「沖縄県」とが「訴訟合戦」を行っている状況のことであり、また、先日の「安保法案」では、多くの国民が、デモを実施したことも、人々の記憶に新しいものと思われるのである。

しかも、この時に、「若干の利上げ」により、「日銀のバランスシート」が、大きな危機に遭遇する可能性も高まっているようだが、現在では、「約240兆円もの当座預金」と「約310兆円もの国債」が存在するのである。つまり、「短期借り、長期貸し」という、「金融機関としては、最も避けるべき事態」となっており、今後、「アメリカの利上げ」が実施された時には、たいへん脆い状態になることも、容易に想像できるのである。

つまり、「1991年のソ連」と、たいへん似た状況となっているようだが、かりに、今後の日本で、同様の事態が発生すると、「国家の財政破綻」や「ハイパーインフレ」の危機と同時に、「約4000万人」とも言われる「年金受給者」が、「どのような状態に陥るのか?」も、たいへん気に掛かる状況とも考えられるのである。