本間宗究(本間裕)のコラム
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2016.2.15
マイナス金利の功罪
1月29日に、「日銀のマイナス金利」が発表されたが、このことは、現在、いろいろな分野で、大きな「波紋」や「歪み」をもたらしているようだ。具体的には、「MMF」などが運用困難な状況に陥っている事態のことだが、より深刻な点は、「日銀の資金繰り」において、「現先運用」が消滅した事実とも言えるようである。つまり、今までは、「日銀が保有する国債」を担保にして、「短期資金」を借りていたのだが、現在では、「マイナス金利」のために、この残高が、一挙に、ゼロとなったのである。
その結果として、「政府預金」が「約38兆円」にまで急増しているが、このことは、「日銀が、政府から資金を借りて、国債を買っている状況」を意味しているのである。別の言葉では、「特別会計」などから、「余剰資金」を借り入れて、「国債」を買っているものと思われるが、実際には、「火の車」の状態が、より一層、加速している状況とも言えるようである。
そして、今後は、「政府預金の残高が、どこまで膨張可能なのか?」が、大きな注目点となってきたようだが、基本的には、たいへん近い将来に、限界点に到達するものと考えている。つまり、間もなく、本格的な「紙幣の大増刷」が始まるものと想定しているが、この時に予想されることは、強烈な「円安」であり、また、「金利の急騰(国債価格の暴落)」でもあるようだ。
別の言葉では、「1991年のソ連」のような状態になることだが、この点については、「中央銀行の中央銀行」と呼ばれる「BIS」の「カルアナ総裁」が指摘する通りの展開となっているようである。具体的には、「各国の中央銀行は、最後の段階で、どのような手段も行使する」という状況のことだが、その後、「市場の反乱」が起こると、「後追いで、金利を急上昇せざるを得なくなる事態」のことである。
つまり、「国債価格の暴落」が始まり、「長期金利の急騰」が起こると、その後は、「短期金利を上げることにより、通貨価値の防衛を計らざるを得なくなる状況」のことだが、すでに、「日本国債」については、「2月9日」に、「歴史的な大天井」を形成したものと考えている。そして、今後は、本格的な「市場の反乱」が始まることが予想されるのだが、「1991年のソ連」の場合には、きわめて短期間の内に、「国家の崩壊」にまで追い込まれたために、今回は、「世界の先進国」が、どれほどの金融大混乱に見舞われるのかが、大きな注目点とも言えるようである。