本間宗究(本間裕)のコラム

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2016.2.22

激減した「政府短期証券」の残高

「2月10日」に発表された「日本政府の国債残高」では、「政府証券(FB)の残高」が、「約30兆円」も減少し、「約87兆円」となっているが、このことも、「マイナス金利の弊害」とも考えられるようである。つまり、「短期資金の出し手」が少なくなった結果として、残高が急減したようにも思われるが、かりに、この傾向が続くようだと、今後は、「外為特会」に、思わぬ影響が出る可能性もあるようだ。

つまり、「外為特会」については、基本的に、「財務省が政府短期証券を発行し、その資金で、為替の介入を行うための特別会計」であり、「平成27年3月31日」においては、「有価証券の残高」が「約128兆円」の規模にまで膨らんでいるのである。つまり、数年前まで実施された「円売り、ドル買いの為替介入」により、「米国債」を中心にして、有価証券の残高が膨らんだものと思われるが、現在では、この点に、問題が起こる可能性が高まっているのである。

具体的には、「政府短期証券の残高」が急減すると、「保有中の米国債」を売却せざるを得なくなる可能性のことだが、かりに、この方法が実施されると、「世界の債券市場に、大きな影響を与える状況」も予想されるのである。つまり、「日本政府が、米国債を売却する」というようなニュースが流れると、世界的な「国債価格の暴落」が起こる可能性が存在するからだが、このことを防ぐためには、「外為特会」が、何らかの方法で、資金の調達に迫られる状況も考えられるのである。

そして、このような「資金調達の問題」については、「日銀」も、同様に悩まされているようだが、今回の「マイナス金利」については、結局のところ、「自殺的な行為」だった可能性が存在するようだ。つまり、「北朝鮮のミサイル実験」と同様に、「自分の首を絞めただけだった可能性」のことだが、実際には、今までの「問題の先送り」に関して、限界点が近付いていることを証明するような出来事だったようにも思われるのである。

より具体的には、「日銀のバランスシート」を大膨張させながら、「国債の買い支え」を実施することには、現在、大きな「矛盾」が存在するものと考えているが、基本的に、「日銀のバランスシート膨張」は、「通貨の堕落」を意味し、「円安要因」とも言えるからである。また、「国債の買い支え」に関しては、「超低金利状態」を維持する目的があるようだが、この時の問題点は、「円安による輸入物価の上昇」であり、今回は、この点に関して、「外為特会」から問題が発生したようにも感じられるのである。