本間宗究(本間裕)のコラム

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2016.6.15

ビル・グロス氏の超新星

「債券王」と呼ばれる「ビル・グロス氏」が言及した「超新星」を調べると、実に興味深い事実が浮かび上がるとともに、「現在の世界的な金融情勢とそっくりではないか?」とも感じさせられた次第である。つまり、「超新星」とは、「ウィキペディア」によると、「大質量の恒星が、その一生を終えるときに起こす大規模な爆発現象」のことだそうだが、このことは、現在の「マネーの大膨張」に重なって見えるのである。

また、最後の段階では、「核融合ができなくなり、赤色巨星の重力崩壊が始まる」とも説明されているが、このことは、「核融合により、恒星が膨張を続けている間は、問題が起きないものの、いったん、核融合が止まると、発生した鉄の分解により、自らの重力に耐えきれなくなり、爆発現象が発生する」という状況でもあるようだ。そして、この事実を、現在の「マネー経済」に当てはめると、「信用創造」により、「マネーの大膨張」が継続している間は、問題が起きないものの、その後、「信用の食い潰し」が始まり、限界点に達した時に、「崩壊的な爆発現象が起こる」という状況が考えられるようである。

より具体的には、「2007年前後」に、「デリバティブ(金融派生商品)」の大膨張が終了し、その後は、いわゆる「量的緩和」により、「先進各国の中央銀行が、国債を大量に買い付ける」という手法が取られてきたのである。別の言葉では、典型的な「リフレーション(通貨膨張)政策」でもあったが、現在では、「中央銀行や民間銀行が、マイナス金利の弊害に耐えきれなくなっている状況」とも考えられるのである。

つまり、「三菱東京UFJ銀行」が、「財務省の許可を得て、プライマリーディーラーの資格を返上した」という事実は、このことを、まざまざと物語っているようにも思われるが、この結果として想定される事態は、「国債入札に問題が発生する可能性」であり、また、「国債価格の暴落」とも考えられるのである。別の言葉では、「赤色巨星の重力崩壊」とも言える事態が、世界の金融界で発生する可能性のことだが、実際に、「いったん、国債価格の暴落が始まると、世界の金融システムや通貨制度は、ほぼ瞬時に、崩壊する可能性」が存在するのである。

しかも、タイミングとしては、「6月から8月」の可能性が高まっているようだが、反対の観点からは、「ようやく異常な時代が終了し、新たな時代の始まりを告げる事件」とも考えられるようである。そのために、現時点では、やはり、「実物資産」を保有することにより、「自分の資産を、爆発現象から守る」という態度が望ましいようである。