本間宗究(本間裕)のコラム

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2016.8.4

店頭デリバティブ取引の新規制

7月24日の日経新聞で、「店頭デリバティブ取引の新規制」に関するニュースが報道されたが、今後は、この点が、最も大きな意味を持ってくるものと考えている。つまり、「ウォーレン・バフェット氏」が、以前に、「デリバティブ(金融派生商品)は、金融界の大量破壊兵器であり、また、経済界の時限爆弾である」とコメントしたが、現在では、いよいよ、この言葉が実現する可能性が高まってきたからである。

つまり、今までの「量的緩和(QE)」の目的は、「国債を買い支えることにより、人為的に、超低金利状態を作り出す」という点にあり、この理由としては、「約5.2京円」と報道された「店頭デリバティブ」に関して、「約7割」が「金利関連」だったことが指摘できるのである。別の言葉では、「デリバティブ」については、すでに、「完全崩壊の状態」となっているようにも考えているが、「この事実を隠すために、今まで、国債価格が、異常な高値にまで買われた状況」のようにも思われるのである。

しかし、現在では、すでに、「日銀」を始めとした「世界の中央銀行」が、「ファイナンシャル・サプレッション(金融抑圧政策)」の限界点に達したものと想定されるのである。そのために、今回、「デリバティブの崩壊」に備えて、「証拠金の拡充」を目論んだようだが、実際には、このことが、「金融機関の資金繰り」を悪化させるとともに、「国債価格の暴落」を引き起こす可能性が存在するのである。

その結果として、「ピーク時で約8京円」にまで達した「デリバティブ」が完全崩壊するものと想定しているが、この時に考えなければいけない点は、「この時に、どれほどの不良資産が発生するのか?」ということである。そして、この点において参考になるのが、「日本の土地バブル崩壊」であり、実際には、「時価総額のピークが約2500兆円」、そして、「不良債権が約1割の250兆円程度」だったという事実でもあるようだ。

つまり、「時価総額」や「想定元本」の場合には、「ピーク時の金額」に対して、「約1割」が不良債権化するものと考えているが、このことを、今回の「デリバティブ」に当てはめると、「約8000兆円」という「天文学的な数字」の金額が予想されるのである。そして、この時には、「不良債権の処理」に関して、「紙幣の大増刷」でしか対応ができなくなるものと考えているが、実は、このことが、「ヘリコプターマネー」の本質であり、現在では、多くの人が、この点に気付くとともに、今後の「ハイパーインフレ」を危惧し始めた状況とも言えるようである。