本間宗究(本間裕)のコラム

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2016.8.15

ババ抜きのババ

「8月7日」からの日経新聞では、5回にわたり、「日本国債の特集記事」が掲載されたが、驚いたことは、「内容や主張が、今までとは、全く正反対だった」という点である。つまり、最近までは、「日銀の異次元金融緩和」を支持し、また、「国債は、安全資産である」という論調だったようだが、今回は、「マイナス金利の国債は、ババ抜きのババである」とも述べられているのである。

しかも、この時に、「吉川洋教授」の「いったん金融危機が始まると、数日で、金利が急騰する恐れがある」というコメントまで付け加えられているが、問題は、「なぜ、これほどまでの大転換が起きたのか?」ということでもあるようだ。別の言葉では、「ようやく、私と同様の意見が出始めた」という点に安堵しながらも、一方で、「これから想定される金融大混乱」については、本質的な理解が不十分であり、その結果として、今後の変化が、予想以上の大きさになる可能性も憂慮されるのである。

つまり、今回の特集記事は、単に、一般論を述べているだけで、「過去数十年間に、どれほどの大変化が、世界の金融界で起こったのか?」が、ほとんど理解されていないようにも思われるのである。具体的には、「1971年のニクソンショック」以降、「信用本位制」とでも呼ぶべき「通貨制度」が実施された結果として、「世界の通貨は、単なる数字に変化した」という事実や、あるいは、ピーク時に「約8京円」の金額にまで膨れ上がった「デリバティブ(金融派生商品)」などが、ほとんど言及されていなかったのである。

別の言葉では、これから予想される「世界的な金融大混乱」については、単純に、「過去のハイパーインフレ」を検証するだけでは不十分だと考えているが、残念ながら、今回の「日経新聞」では、この点が、全く触れられていなかったのである。そして、表面的に、「戦後の日本」や「1940年代のイギリス」などの状況と、「現在」とを比較しただけだったようだが、実際には、より大きな変化が、根底に存在しているようにも思われるのである。

具体的には、「文明法則史学」が教える「1600年に一度の大転換」であり、このことは、「西暦400年前後の西ローマ帝国」で発生した状況のことだが、この時には、多くの人々が、「物質文明」ではなく、「精神文明」を求め始めたのである。つまり、これから予想される「大転換」は、人々の興味と関心が、「市場経済」や「唯物論」から、「共同体」や「唯心論」へ移行し始めている点が、根本的な原因とも考えられるのである。